novel
□Unknown feelings
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触れられたところは、熱に浮かされたように熱くて。
くっつかれると、どうしようもなく落ち着かなくなるのに、
離れていると、寂しく感じる。
胸の奥はくっすぐったいのに、
時々感じる痛み。
この感情の名を、
まだ知らない。
「おかえり、悟空さ!!」
チチは待ち構えてたように、悟空の腕に飛びついた。
「お、おう……ただいま」
「すぐにご飯にするでな。それまでにお風呂に入ってきてけろ」
チチはそう言って悟空にバスタオルを渡して台所に駆けていった。
悟空とチチが結婚して、悟空の故郷であるパオズ山で二人で暮らし始めて2ヶ月。
悟空は結婚前とは変わらず修行ばかりの日々で、一方チチは一向に働きに出ない悟空に文句を言いながらも、悟空が満足するように、完璧に家事をこなしていた。
最初は結婚の意味も知らない悟空だったが、チチとの生活は小言ばかりの窮屈な暮らしのようで、美味い手料理にいつも掃除が行き届いている部屋、ボロボロにしてもきれいに洗濯され繕われている道着と、実は居心地のいいものだと感じるようになっていた。
でも最近、悟空は自分が少しおかしいと気付いていた。
チチの顔を見るとドキドキする。チチに触れられると固まってしまう。
そして胸の奥がくすぐったいような、自分でも持て余し気味な感情に辟易していた。
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