novel

□Unknown feelings
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「あっちい……」

 湯船に浸かりながら先程チチに掴まれた腕をさする。

 何でだろう? 触れられると心臓が跳ね上がるようで居心地が悪い。

 でも、離れると妙に寂しく感じる。もっと触って欲しいと思う自分もいる。

 何か変だ。自分は病気にでもなってしまったんだろうか?

 チチに告げるべきか?

 でもこの事をチチに言ってはならない気がした。


「悟空さ、ご飯できただよ」

 ドキン、と心臓が跳ね上がった。

「お、おう、すぐ行く」

 チチの事を考えている時にチチに声をかけられたものだから、悟空の声は少し上擦ってしまった。 


 風呂から上がると食堂から良い匂いがし
た。

 今まで自分の持て余し気味の感情に振り回されていたくせに、悟空の腹は正直なもので。

 グウ〜と音を鳴らすと今までの感情はそっちのけで「ま、いっか」と食欲が勝ってしまうのもいつもの事。


 食卓につくと目の前のは鼻腔を擽る匂いのチチの手料理。

「いただきますっ!!」とチチの指導通りに手を合わせ、一心不乱に料理をかき込む。

 その姿をチチは目を細めて、嬉しそうに見ていた。


 チチの料理は今まで食したものの中でもずば抜けて美味いものだった。

 初めて口にした時は「こんなうめえモン食った事ねえぞ!!」と大絶賛で、その時のチチの嬉しそうな顔に悟空は一瞬ドキッとした事を昨日の事のように覚えている。

 一生忘れねえだろうな……と悟空はなんとなく思った。

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