novel

□The truth
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 図星だった。

 もし自分が宇宙人だって言ってチチに避けられたらどうしようと、悟空らしくない事を考えてしまっていた。

「……だってよオメエ……宇宙人だぞ? イテッ!!」

 弱々しく言う悟空にチチは指で鼻をはじく。

「おらをみくびるでねえぞ!! 悟空さが普通の人間でねえ事くれえ、とっくの昔にわかってたべ!! それにおらは孫悟空の妻だ!! 宇宙人とか関係ねえべ!!」

 腰に手を当てて、胸を張って言うチチが愛おしい。

「チチィ……」

 抱き締めたいが身体が動かない。

「おらはオメエの口からはっきり聞きたかっただ。なのにおめえ、なかなか何も言わねえもんだから……」

 俯き加減で言うチチがかわいくて……。

「……すまねえ……オラ……オメエを失いたくなくって……言うのが怖かったんだ……」

 節目がちに言う悟空に、チチはフッと笑って、

「悟空さでも自信を失くす事あんだな。大丈夫だ。おらはおめえから離れたりしねえだよ」

 はっきりと、悟空に言い聞かせるように言った。


 悟空は胸が熱くなった。

 愛おしくて、抱き締めたくて、でも動かない身体がもどかしい。

「チチィ……オメエに触りてえよ……」
 
 懇願する悟空。

「ダメだ。おらに触りたけりゃ早くその身体を治す事だな」

 ベッと舌を出すチチ。

「そんなぁ〜」

 泣き出しそうな悟空にチチは、

「治ったらいくらでも触らせてやるだよ。」
 そう言ってニッコリ笑う。

「絶対だな!?約束だぞっ!?」

「あ、ああ。いいだよ」

 意気込む悟空に少し不安も感じて。

 それでも。

「おかえり……悟空さ」
「ただいま、チチ」

 言ってなかった二人の合言葉。

 それを口にした時、あんなにギクシャクしてた雰囲気だったのに、あっという間にいつもの二人に戻る事ができた。

 自分が宇宙人だろうが関係ないと言ってくれる妻。

 自分の心配は単なる杞憂にすぎなかった。

 あるがまま、どんな自分でも受け入れてくれるチチ。

 どんな自分だって「おかえり」と言ってくれるチチ。

 そんなチチに一生勝てねえなと思いながらも、それがただただ嬉しい悟空だった。



地球人だろうと、宇宙人だろうと、
自分達には関係ない。
必要なのは、
あるがまま、
お互いがお互いである事だけー。


 end



       
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