novel

□Thing that seems to be glad
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 あまりの暑さに、いつもより早く修行を切り上げて帰宅した。

「ただいま〜あっちぃなぁ〜……あれ? チチ?」

 玄関を開けて我が家に入るも、リビングにも台所にも目当ての姿はない。

 息子の姿もないところを見ると、一緒に買い物にでも出かけたのだろうか?

 とりあえず汗をかいたのでシャワーでも浴びようと風呂へ行く。

 すると自分が早く帰宅するのを見計らったかのように既に風呂は沸かされていて、着替えもきちんと置かれていた。

 本当によく出来た嫁だなと微笑み、風呂へ入る。

 風呂から上がると急に眠気が襲ってきた。

 リビングのソファで寝てもよかったのだけれど、何となく妻の匂いが残る寝室のベッドで眠りたくなった。

 寝室のドアを開けると自分と妻のベッドの上に先程探していた姿が二つ。

「なんだ。昼寝してたんか」


 息子の昼寝の添い寝をしているうちに寝入ってしまったのだろう。

 妻も息子と一緒に小さな寝息を立てている。

 ベッドに頬杖をつく形で床に座り込んだ。

 妻と息子の寝顔を見ていると、何だか胸の奥にあたたかいものが込み上げてくるのを感じた。


 こうして見るとやっぱり似ている。


 妻も義父も息子は自分に似ていると言う。


 確かに息子は自分に瓜二つだが、ふとした仕草が妻に似ていると思う事がある。


 笑った顔。拗ねた顔。泣いた顔。そして寝顔。


 自分に似ていると言われる息子に、妻に似ている所を見つけると無性に嬉しくなる。

 妻も息子が自分に似ている事がすごく嬉しいと言っていた。

 自分達夫婦は自分に似ているよりも相手に似ている方が嬉しいのだ。


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