novel

□Thing that seems to be glad
2ページ/3ページ


 自分のまわりに父親になった人間はいないから、他の父親がどう思っているのかわからないけれど。

 妻の父親だけだから、一度聞いてみた事がある。

『子供が自分に似ているのはもちろん嬉しいけんど、おっ母に似てるのは嬉しかったべ。そりゃアイツはおなごだべ、おらに似るよりべっぴんのおっ母に似る方がよかったけんど、それだけでねえ。おらとおっ母、どっちにも似てるって事がおら達の子供だって実感できるんだ。特に悟飯は男で婿殿似だ。だから余計そう感じるんだべ。おめえもアイツの事、ちゃんと好きだってわかって安心だべ』

 そう言って笑っていた。


 好きだから子供が妻に似ていると嬉しい。


 そう言われるとそうかも知れない。

 自分は妻が誰よりも好きだから、自分似の息子に妻の面影を見付けると嬉しいのだ。

 義父の言う事は妙に納得できた。


 妻と結婚して、嬉しいと思う事が増えた。

 そう思える事がまた嬉しい。

 妻と息子の寝顔を見ながらそんな事を考えていると、急激な眠気に襲われ、二人の寝息に誘われるように微睡む。

 今しばらくの間、親子3人でこうして昼寝も悪くない。

 目覚める時はきっと、妻の優しい声と息子の無邪気な声。

 そんな何気ない事が、この上なく幸せに感じるのだ。

 そして二人に追い付く為に、自分も眠りに落ちていった。


.
次へ
前へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ