novel

□Thing that seems to be glad
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 少し早めに修行を切り上げて帰宅した。

「今帰ったぞ」

 返事がない。

 おかしいな。と思いながらリビングへ行くと、妻がソファに座ったまま寝ている。

 そしてその膝には次男坊。

 珍しいな。と思いながらも、毎夜自分の我が侭に妻をつき合わせているのだから仕方がない。


 少しだけ反省しながら自分そっくりな次男坊が妻の膝を抱え込んで寝ている姿を見ると、自分もこんななんだろうか?と何だか少し気恥ずかしくなる。


 その姿を見ていると、昔、妻と長男が昼寝をしていた姿を眺めていたな、と思い出す。

 あの時は長男の、妻に似ているところを発見出来た気がして嬉しかった。


 次男は長男よりも自分に似ている。


 それでも笑った顔や拗ねた顔や寝顔は妻に似ている。

 それにあの時眺めていた長男の寝顔にもそっくりだ。


 それが嬉しくて、向かいのソファに座って二人を眺める。


 少し腹も減ったが、今妻を起こすのは忍びないし、何だか勿体無い気がした。


 こうして妻と次男が寝ているのだからそっとしておいてあげよう。


 するとあの時と同じように睡魔が襲ってきた。
 
 微睡んでいく中、長男の気が近付いて来るのがわかった。

 戻って来ても起さないでいてくれると助かるのだけど。


「ただいまぁ……あ……」


 長男は少し戸惑ったようだったけれど、すぐに微笑んだのがわかった。


 そして自分達にブランケットをかけてくれた。

 自分はそこまで思いつかなかったなぁ…と長男の気遣いに感心もして。


「……おかえり……悟飯……」


 もう眠気で遠のく意識の中、これだけは言ってやりたくて。


「ただいま、お父さん」
 

 低くなったけれど、それでも愛しく思えるその声を聞いた途端、本当に意識が途切れた。



嬉しいと思える事が嬉しい。

どんなに些細な事でも、

嬉しいと思える事が、幸せなんだ―。


 end



       
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