novel

□手を繋いで〜孫家ver.〜
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夕暮れの中、手を繋いで歩く。

ゆっくり、ゆっくり、

歩調を合わせて。


「おとうさん待って!!」

 呼ばれて振り向くと、小さな息子がしゃがみ込んでいた。

「何だ悟飯。疲れたんか?」
「……うん……」

 遠慮がちに頷く息子。本当は抱っこして欲しいくせに、妙なところでプライドが高い。こういうところは妻に似たか。

 抱っこしてやりたいが自分は薪にする為の大木を抱えている。

 それにすぐ疲れたからといって抱っこするのは駄目だと妻に言われている。

 妻は息子を甘やかせているようでいて、こういう事には厳しかった。

 それに抱っこをしてと言わない息子のプライドもある。

「悟飯。手ぇ繋ぐか?」

 息子に手を差し出す。

「……うんっ!!」

 嬉しそうに手を握り返してきた。

 その手はすごく小さくて、今にも潰れてしまいそうに見える。

 でもその握り返してくる力は意外と強くて、何だかこの手に初めて触れた時の事を思い出した。

 今よりもっともっと小さかったこの手は、自分が人差し指を差し出すと力強く握ってきた。

 こんなにも小さな赤ん坊が、こんなにも強い力で握ってくる事に驚いた。

 あの時よりも幾分も大きくなった手。その成長が嬉しかった。

 自分も息子の手を握り返し、

「さあ、母ちゃんが待ってっぞ!!」
「うんっ!!」

 夕暮れの中、手を繋いで妻の待つ我が家への道を、ゆっくり歩いて帰った。




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