novel
□手を繋いで〜孫家ver.〜
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「にいちゃんっ!!疲れちゃった。抱っこして」
振り返ると弟がしゃがみ込んで愚図っている。
「悟天。ちゃんと歩かないと駄目だよ。お母さんがこのお魚待ってるんだよ」
もうすぐ4つになる弟が食糧の調達について来ると言ったし、母もそろそろ連れて行ってもいいだろうと言ったので連れて来たのだが……。
はしゃぎ過ぎて疲れたのだろう。
「ヤダ。もう歩けない!!」
「悟天!!」
一瞬ビクッとなったが、誰に似たのか妙に頑固なところがある。てこでも動かない。
僕もよく歩けないと父を困らせたが、今の弟よりかはまだ聞き分けはよかった方か?
それもあったけど、こういう時はいつも父が手を繋いでくれた。
父の大きな手に繋がれていると妙に安心した。
今思えば、手を繋いで欲しくてわざと我が侭を言っていたのかも知れない。
「悟天」
弟に手を差し出す。
「兄ちゃんと手を繋いで帰ろう?」
弟は一瞬躊躇したが、満面の笑みで手を繋いできた。
「へへへ!!」
嬉しそうに笑う弟。
僕の手は父より全然大きくはないけれど、弟にとって安心できる手になれたらいい。
母の待つ家へ帰ろう。きっと母は家の前で待っててくれる。
二人で手を繋いで家までの道を歩いた。
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