novel
□手を繋いで〜悟チチver.〜
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「悟飯ちゃん、おいで」
妻がそう呼ぶと虫と遊んでいた幼い息子が駆け寄ってくる。
「そろそろ帰るべ」
妻が手を差し出すと、息子は自然と妻の手を掴む。
妻はその手を優しく握り、二人で昼寝をしている自分の方へやってくる。
「悟空さ、そろそろ帰るべ。腹減ったろ?」
「おお」
自分は立ち上がると、妻からリンゴがいっぱい入ったカゴを受け取り、もう片方の手で息子の手を握る。
三人で歩く時はいつもこう。
自然と三人、手を繋いで歩いた。
息子が生まれる前は妻と恥ずかしいながらも手を繋いでいたが、今では自分達の間に小さな愛息。
あの頃は二人でも十分過ぎる程幸せだったけれど、今は息子も加わりもっと幸せになった。
夕暮れの中、我が家までの道。
妻と息子の歌声が響く。
この心地よさに浸りながら、三人で歩いた。
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