novel

□Thing wishes to your eyes
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君の瞳映るのは、
僕だけであって欲しいと願う事は、
勝手な願いですか?


 ブルマからガーデンパーティーの誘いを受け、悟空一家は西の都のカプセルコーポレーションに来ていた。
 
 そこにはいつものメンバーにビーデル、ミスター・サタン、ブウも来ていた。

 その中に仏頂面の男が一人。べジータだ。
 
 いつもどこかしら怒っているかのようなこの男だが、今日はいつも以上に不機嫌だった。

 原因は向こうにいる彼の妻と、そして彼が唯一ライバルと認める男、孫悟空。

 もっとも彼にとってはカカロットという名前ではあるが。


 仲良さげな二人が気になって仕方がない。でもここでどうにかする事は彼のプライドに反する。

 それが例え妻が関わっていようとも。


 バーベキューで焼かれた肉に食らいつくが、味なんてわからない。

 とにかくムカつく。それでも大量の肉が消費されていくのは、悲しきサイヤ人の特性か。

「べジータさ」

 ふいに声をかけられる。

 見上げれば向こうで妻と仲良さげに喋っている男の妻。

「何だ?」

 べジータは目だけで孫悟空の妻であるチチを見やる。

 チチは優しげに微笑み言った。

「べジータさはおらの仲間だべな」
「っなっ!? うぐっ!!」

 べジータはチチの理解不能なチチの言葉に食べていた肉を喉を詰まらせた。

「べジータさっ!?」
 チチは慌ててべジータの背中を擦る。

「き、きさまっ!?な、何言って……」
 まだケホケホとむせている。

 チチはべジータに水を差し出して、べジータにそっと耳打ちする。

「悟空さとブルマさだべ」

「何?」

 べジータは水を飲み干し、一息ついて言った。

「……あの二人が何だと言うのだ?」

 チチは悟空とブルマの方を見やりながら小声で言った。

「仲いいべ? あの二人。妬けるべ?」
「何をっ!?」
「静かに」

 チチはべジータが叫び出そうとしたのを制した。

「おらも同じだべ」
 そうニッコリと微笑む。

「……そんな風には見えんが……」

 もうこの女に何を言っても無駄だと思ったらしい。べジータはもう反論する事もやめ、チチの話を聞く。

「ああやって仲良くしてるところを見るのは今でも変な気持ちになるべ。でも……」

 チチは微笑みながらあの二人の方を見る。

「ブルマさがいなければおらは悟空さに会えなかっただろうし、べジータさも悟空さとブルマさが会っていなかったらブルマさに会えてないべ?」

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