novel
□If, that time...
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自分の選択は決して間違ってはいなかった。
もしも、あの時、
違う選択をしていたならば、
今のこの幸せは…
「すまねえなチチ。オラ、オメエとケッコンってのできねえや」
「悟空……」
第23回天下一武道会はマジュニアとの死闘を制した孫悟空の優勝で幕を閉じた。
その悟空と幼い頃に交わした結婚の約束を果たす為、天下一武道会にまで出場した牛魔王の娘、チチは泣きそうな顔で悟空を見つめている。
「オラもっともっと強くなる為にもっともっと修行がしてえんだ。だからオメエと暮らすなんてできねえんだ。わかってくれ」
ケッコンとはずっと一緒に暮らす事で、幼い頃に食べ物だと思って『ヨメに貰う』と約束した事は、チチとケッコンをする事だと知ったのは今日の事。
何も知らずに軽々しく約束してしまった事を後悔し、その約束を反故にする事に対してもすごく罪悪感を感じた。
しかし、何よりもチチの泣きそうな顔に対して罪悪感を抱いているのだが、何も知らずに約束してしまったのだ。だから仕方がない、と、自分の中で納得した。
「すまねえっ!! じゃあなっ!!」
悟空は仲間達への挨拶もそこそこに、筋斗雲で立ち去った。
上空から地上を見下ろすと、ブルマに肩を抱かれて泣いているチチの姿が目に入った。
その時、その顔を覆っていた両手を外し、こちらを見上げてきた。
その目が何とも言えず切なくて、悟空は胸を締め付けられた。
心臓の辺りの道着を掴み、目を閉じる。
そして、先程見たチチの顔を振り払うように、何度も何度も頭を振った。
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