novel
□the first getting warm
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自分の正直な気持ちを吐露し、チチに触っていいと言われた。
その途端、チチが無性に欲しくなった。
チチの全てを自分のものにしたくなった。
坂を転がり落ちるように、その思いがあの行動に走らせた。
強く強く抱き締めた。
泣かせたくないのに啼かせたい。
自分でも正体不明なこの感情に少し戸惑いこそしたものの、チチを好きだから、自分のものにしたいからだと気付いた途端、抑えていたものが抑えきれなくなった。
どうすればいいのかなんてわからなかった。
でも男としての本能か、こうしたいと思う事は間違ってはいなかった。
チチを自分のものにする。
ケッコンしたからチチは自分のものなのに、本当は全然手に入れてはいなかったのだ。
それが昨夜、本当にチチの全部を手に入れた。
チチは自分を狂わせる。
チチが発する声のひとつひとつが、チチの大きく黒い瞳が、その滑らかで白い肌が、自分の中のもう一人の自分を呼び覚ますような、そんな錯覚すら覚えた。
血が沸騰し、逆流するような感覚。
こんな自分は知らない。
でもこれがきっと本当の自分なのだろう。
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