novel
□Lonely back
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何でここで泣いているんだろう。
泣くなら自分の部屋でいいはずなのに―。
ソファの背に頬杖をつき、窓の外を眺める。
曇って見えるのは雨が降っているからか、それとも自分の目に涙が溢れているからなのか、ブルマにもわからなかった。
つい先程、長年付き合ってきた恋人と別れた。
こうなるだろう事はお互いにわかっていた。
だけど、お互いにそれを口に出す事を躊躇っていた。
きっとこのまま、何事も無ければ二人は結婚していただろう。
十代の頃からずっとお互いを思い、愛してきたはずなのに、どこかで、どこだかわからないどこかで、二人の気持ちが微妙にすれ違って、それが積み重なって、ついにはこうなってしまった。
繰り返されるヤムチャの浮気。
きっと原因はそれだけではない。
その事にブルマは何となくではあるけど気付いていた。
原因は自分にもあると、ブルマはわかっていた。
ヤムチャの事はまだ好きだった。だから悲しい。
でも、それとは別に、妙な安心感も覚えた。
それを認めてしまうと、自分が間違った人間であるように思えて、どうしても認める事ができずにいた。
窓の外を眺めていると涙が頬を伝った。
泣くならこのリビングではなく自室でいいのに、ブルマはここにいたかった。
ここなら、彼が来るから…。
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