novel
□Lonely back
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ブルマの鼓動が高鳴った。
(私がずっと待っていた人はこの人……)
ブルマはもう自分の気持ちを欺く事は出来なかった。
(私が好きなのは……この人……)
異星人なのに、侵略者なのに、こんなにも惹かれた。
まるで引き寄せられるように、この人に会いたかった。
昔馴染みの妻と同じように、異星人である彼に惹かれてしまった。
「何だ? 泣いてるのか?」
素っ気ない言い方だった。
でも、この人らしくていいのかも知れない。
ブルマはそう思うと、先程まで溢れて止まらなかった涙が渇いている事に気付いた。
「別れたの。ヤムチャと」
「……そうか」
関心のない言い方だった。
けれど、少し違う色も見て取れたのはそう思いたいからだろうか?
ブルマは少し微笑むとおもむろに立ち上がり、簡易式の冷蔵庫に向かう。そして中から缶を2本取り出すと、1本をベジータに差し出した。
「付き合ってよ」
ベジータは黙ってそれを受け取ると、プルトップを開ける。
ここへ来たばかりの時は開け方すらも知らなかったのに。
彼がここへ来て随分になる事を思い知らされる。
「何だ? これは」
「ビールよ」
「ビール?」
「お酒よ」
ベジータはその匂いを嗅ぐと、眉間に皺を寄せた。
「……」
ここへ来てからは水やジュースの類しか飲んでいなかったベジータは、ビールの匂いに少し抵抗があったようだ。
「……苦いな……」
ビールを口にすると素直にその感想を言う。その顔はやはり先程と同じく眉間に皺を寄せている。
口には合わなかったらしい。それでも飲むのは王子としてのプライドかも知れない。
「慣れるとおいしいのよ」
「……こんなものがか?」
怪訝そうに呟くベジータにブルマは苦笑する。
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