novel

□Pain
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 その娘・ブルマとベジータはナメック星で出会った。

 あの時は本気でこの女共々その仲間を殺そうと思った。
 しかし成り行きでこの星へ来て、行き場のないベジータを受け入れたのは他でもないブルマだった。

 年の頃も同じくらいのこの女は、聞けばカカロットを山奥から連れ出したのだという。
 そして共に旅をし、現在の恋人・ヤムチャに出会ったのだという。

 正直そんな話はベジータにはどうでもよかった。

 しかし、何故だかその話を聞いて随分となるのに、最近になって思い出した。

 何故今になってその話を思い出したのか、皆目検討もつかない。

 それどころか気分が悪い。思い出したくもない話だった。

 トレーニングの合間、時々ではあるが、ブルマとヤムチャの仲睦ましい姿を目にした。 

 その時、何故か胸の奥がチリチリと疼くような、まるでカカロットに超サイヤ人になる事を先に越された時に味わったような感情が芽生えるのだ。

(気分が悪い)

 ベジータはいつもそう思い、足早にその場を去っていた。

 その時の感情とよく似ている。

 ブルマとヤムチャの話など、聞きたくも思い出したくもなかった。


 その事をまた思い出し、気分が悪くなった。

 喉も渇いてきた。

 飲み物でも飲もうと、いつも利用している簡易冷蔵庫のあるリビングまでやってきた。

 そして入り口に立った時、ブルマが窓の方を眺めて,その蒼い瞳から涙が流れたのが見えた。


 ドクン


 ベジータの心臓が大きく鳴る。

 喉がやけに渇いている。

 何故だかわからないが身体が硬直したように動かない。

 暫くの間見入ってしまった。その涙に。

「ごめんね……」
 ブルマの呟く声が聞こえた。

 ベジータの心臓は再び大きく鳴ったが、とにかく平然を装い、言った。

「何がだ?」

 ブルマはその声にすぐに反応し、入り口のベジータに目を向けた。

「……ベジータ……」

 一瞬だが、ブルマの頬が色付いたように見えた。

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