novel

□I want to meet you.
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「18号……何でここに……?」
「…あの赤ん坊…」

 自分はその問いには答えず、ただ赤ん坊を指差す。

「ああ……悟空の子だよ」
「……孫……悟空の……?」

「まあ、上がれよ」
 
 男はそう言い微笑むと、あの男・孫悟空の息子も自分はもう何もしないと思ったのだろう。玄関の扉を開けて自分を招き入れた。
 その顔は笑みすら浮かべて……。

 恐る恐るその赤ん坊を抱いた孫悟空の妻に近付く。

 孫悟空の妻はかつて自分の夫を殺しに来た人造人間だというのに、ただ微笑んで、

「ほら見てけれ。悟空さにそっくりだべ?」

 そう言って愛しげにその赤ん坊の頭を撫でた。
  
 赤ん坊は擽ったそうに身じろぎし、自分を確認すると笑って手を伸ばしてきた。

「赤ん坊は敏感だで、いい人か悪い人かわかる。おめえは悪い人間なんかでねえだよ。この子は悪い人でねえって言うって事は、悟空さもそう言ってるって事だべ」

 そう言って自分に微笑みかけた。

「ほら、抱いてやってけれ」

 そう言って孫悟空の妻は自分に赤ん坊を差し出す。

 恐る恐る赤ん坊を受け取る。すると、赤ん坊はキャッキャッと笑い、自分の差し出した指を握った。

 その力の強さに驚いた。

「誰も一緒だべな。悟空さも悟飯もクリリンさも、赤ん坊の力強さにびっくりしたべ」
 妻は笑った

「そりゃそうっすよ!! まさか赤ん坊にこんな力があるなんて思いませんもん。悟空の子だからじゃないっすか?」
「クリリンさも子供を持ったらわかるべ。なぁ?18号さ」
 
 妻は不敵な笑みを浮かべ、男と自分を交互に見た。

「?」

 男も息子も意味がわからなかったみたいだが、自分はすぐにわかった。
 
 途端、顔が熱くなるのを感じる。


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