novel
□Distance-距離-
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会いたい。
会いたい。
でも彼は、
私の元へは来てくれない。
彼との距離が、
やけに遠い―。
ヤムチャと別れた夜、ベジータに傍にいて貰った。
妙に心地よくて、この家は自分の家なのに、初めて自分の居場所を見つけたような、そんな感覚を味わった。
でもあれから1週間、ベジータに会っていない。
重力室にもいない。
でも、自分のいない時間、食事をしに帰って来ているようだと母に聞いた。
(避けられてる?)
そうとしか思えなかった。
あの日から、私は彼に避けられてる。
彼の優しさに触れたのは気のせいだったのか、幻だったのか。
私がそう思いたかったのか?
彼に会いたくて、どうしてもベジータに会いたくて、私は気が変になるかと思った。
こんなにも胸の潰れそうな、切ない想いをするのはいつ以来か?
いや、初めてかも知れない。
ヤムチャに浮気されても、ただ腹が立って、ムカついて、でも、それだけで…。
今考えると、悲しいとか、辛いとか、切ないとか、そういう感情は皆無だったように思う。
さすがに別れる時は悲しかったし寂しかったけど、ただそれだけで……。
でも好きだった。本当に好きだった。
ヤムチャを生き返らせる為にナメック星に行った時の気持ちに決して偽りはなかった。
ただ……
あそこで出会ってしまったのだ。……ベジータと……。
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