novel
□permanently-永久に共に-
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悟飯は大学での研究が認められ、この度講師として採用される事となった。
要するに仕事が決まったのだ。
父親の悟空は働いていないので(でも時折どこかの町の力くらべ大会などで金や食べ物を手に入れていたようだが)、母は悟飯の就職を大いに喜んだ。
その時言った言葉が、
『これでビーデルさといつでも結婚できるべな!!』
だった。
悟飯の心臓は大きく跳ねた。
(バ、バレてる?)
実は悟飯も考えてはいた。
もし仕事が決まったら、ビーデルにプロポーズしようと。
本当は学生のうちからでも結婚したかった。
自分の伴侶はビーデルしかいないと思っていたから、少しでも早く結婚したいというのは常日頃思ってはいた。
思ってはいたのだが、何分学生の身だ。結婚するには先立つものがないと……そう思い今まで我慢してきた。
悟飯の父親の悟空は定職を持っていなくても結婚できたし生活も出来ている。(まあ祖父の牛魔王の援助があったからだけれども……)
確かにビーデルの父親のミスター・サタンは金持ちだ。自分達の交際にも賛成してくれているし、いずれ結婚する事も認めてくれている。
結婚にあたってはそれなりの援助もしてくれるだろうが、悟飯としてはそれは望んではいなかった。
絶対に自分で稼いで生活できる目処が立つまでは……と、今までプロポーズも我慢してきたのだ。
しかし、いざプロポーズしようと思ってもなかなかその言葉が出てこない。
講師になる話が決まってからは何度かチャンスはあった。あったのだが、いざビーデルを目の前にするとその言葉を口にする事が出来ないのだ。
(ホント、僕って根性無しだよなぁ…。)
その度そう思って溜息を吐くのだった。
でも今日こそ、今日こそは絶対にプロポーズしようと思った。
その為に指輪も買った。プロポーズの言葉も考えた。
あとはビーデルを目の前にして、その言葉を口にするだけだ。
その後の事は考えない事にした。
例え断られたとしても(万に一つもそれは無いと思いたい)それは仕方がない。人生に絶対など存在しないのだから。
大きく大きく深呼吸をする。
そして空を見上げる。
白い息の向こうから、白い雪が舞い降りてきた。
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