novel
□open the door
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その扉を開けると、
君がいる。
その扉が開いたとき、
あなたはいない―。
「お父さん、本当に修行しなくていいんですか?」
池のほとりで昼寝をしている悟空に、今は悟空と同じ金色の髪をしている息子が訊ねてきた。
「いいんだって。言っただろ? 3日休んで3日特訓、そんでもってまた3日休むって」
「でも……」
修行をしていないと不安なのだろう。そんな息子の不安をどうすれば拭ってやれるのか。
「悟飯、母さんに弁当作って貰ってさ、三人でどっか行こうぜ?」
「ホントにっ!!」
その途端、悟飯の顔がパアっと明るくなった。
「ああ、オメエどこ行きたい?」
「お父さんの運転でドライブ!!」
「お安い御用だ」
寝転んでいる悟空の顔を覗き込むようにしていた悟飯が満面の笑みを浮かべた。その金色の頭撫でてやると、悟飯は擽ったそうに笑った。
まだまだ子供だと思った。いくらその小さな身体に、悟空でも計り知れない力が眠っているのだとしても、やはりまだまだ子供なのだ。
「でもお父さん……本当に修行しなくていいの?」
それでも不安げな悟飯に苦笑する。
「だから言ったろ? 一気にこれ以上修行しても意味ねえんだって」
「……はい」
俯き加減で、やはり不安げな悟飯。修行をしていないと落ち着かない気持ちもわからなくもないが、本当にこれ以上やっても意味はない。精神と時の部屋で限界まで修行したのだから。
せめて身体を休ませて、その日に供えた方がいい。
こんな時、普通の親ならどう言ってやるんだろう。どうしてやるんだろう。
それ以前に、子供を闘いに巻き込むなんてことはしないだろうが……。
悟空は親として最低だったと自分でも思っていた。いや、今でも最低だ。
幼い頃から散々苦労させた息子を、命を賭けた闘いに駆り出し、その小さな身体に潜む力を利用しようとしているのだから。
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