novel

□遺せし愛しきもの
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「悟飯ちゃーん!!」

 ここは五行山の八卦炉。

「悟飯ちゃーん、いないのかよー!?」
「何ですかな?アンニン様」

 この八卦炉の責任者である太上老君ことアンニンの呼びかけに、ここでアルバイトをしている孫悟飯は八卦炉の陰からひょっこりと顔を出した。

「悟飯ちゃん。ここに来てからお盆とか命日に帰ったことあったっけ?」
「いや、死んでから一度もありませんな。一度悟空が占いババのところに来たときくらいですな」

 大きな身体を悟飯と同じ大きさに戻りながらアンニンは聞くと、悟飯は答えた。

「ふーん。じゃあさ、明日休みあげるからさ、帰っておいでよ」 

 ニコニコとしながらアンニンは言う。

「いやしかし……ここの護衛は……」
「別に大丈夫だよ。悟飯ちゃんだって帰りたいだろ?」
「それはそうですが……」
「お盆は忙しいからね。そのときは無理だけど今ならそんなに忙しくないからね。だからいいんだよ」
「しかしアンニン様……」
「いいからいいから!! これは命令だからね。明日だよ。わかったね」
「は、はあ……」

 あまりにも強引なアンニンの提案に、悟飯は不承不承ながらも頷いた。

 



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