駄文部屋

□True death−detailed−
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 母が亡くなって程なくした頃、その後を追うように宇宙一強かった父も亡くなった。

 その死に様は今までの父の人生からは考えられないほどに静かで穏やかなものだった。

 母の葬儀の後、父は母の東方の服をその胸に抱き、若々しかったその体躯は実年齢と思えるほどに年老いた姿で息絶えていた。

 それまで、常人とは違った人生を歩んできた父は、やはり常人とは違い本当の死までに二度死を迎えている。

 一度目は僕が初めて父の師匠の家に訪れたとき、父の兄という人物に僕が連れ去られた際に闘い、命を落とした。

 そしてドラゴンボールの力によって生き返り、その後、超サイヤ人となり、宇宙最強となった。

 しかし、父をも上回る強敵が現れ、僕のせいで父は死んだ。

 その戦いのあと弟が生まれ、そして7年後、父が一日だけこの世に戻ってきたその日、また新たな強敵が現れ、地球が一度滅んだ。

 だが父が老界王神様の命を貰って生き返り、その後、僕たち家族と再び暮らすこととなった。

 僕も結婚し、娘が生まれ、平穏に暮らしていたけれど、父が最後に闘った強敵の生まれ変わりだという少年を連れて修行に出て行った。

 その後、母を怒らせたと気付いた父は何度も帰ってきて、そして最後の修行を終えてからはずっと家にいた。
 
 いつまでも若々しい体躯を保っていた父は、穏やかな時間を過ごす中で何か物足りないと思っていたに違いない。

 しかし、父は母の傍から離れようとはしなかった。父とは違い、人並みに年老いる母はいつまでも若い父を見るのは辛かったはずだ。

 それでも母はその小さな身体で父の面倒を見続けて、父を叱り飛ばしていた。

 でも二人はとても幸せそうで、僕たち夫婦の理想であり憧れだった。

 しかし、あの母以外に怖いものがないと思われていた父だったが、その父がずっと何かに怯えていたことを知ったのは、母が倒れたその日だった。

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