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□昼寝の前に
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久々に二人きりだというのにケロロは忙しそうに

取り込んだばかりの洗濯物をたたんでいる。

その傍で漫画を読みながら、寝転んでいたタママだったが

やっぱりつまらない。ふざけたくてたまらない。



「軍曹さん、あっそびっましょ」

「ダーメー。我輩が終わるまで待っているであります。」

予想通り、ケロロはそっけなく返す。



け・ち



声に出さずに顔を膨らませる。



足を交互にばたつかせながら、しばらくケロロを見つめていたが

やがてニコっと笑って起き上がりケロロに飛びついた。


「ぐんそーさんってばぁ。」
「ハイハイ。じゃあタママも手伝って」


しょうがないので手伝うが途中で飽きてきた。
せっせとたたんでいるケロロの背後から
わき腹に手をいれる。


「わ、ちょ、くすぐ・・・あっふぁっふぁっ!ちょっとタママ!」


くすぐったがり屋のケロロにはたまらない。

洗濯物の山の上で転がるように逃げる。
タママの動きを封じ込めようと手にしていた夏美の白いTシャツを
いたずらっ子の頭からかぶせた。


「わ!」



いきなり被せられたシャツに身動きできずにタママはもがいている。


「まったくもー!何するでありますか。
早くしないと夏美殿が帰ってくるでしょー!!」
気色ばむケロロは再び洗濯物に手をかけた。

それと対照的に、しばらく四苦八苦していたタママだったがやがて襟から顔を出した。

「ぷはっ。・・・だって構ってくれないんだもん。でも、ごめんなさいですぅ」

悪いと思ったのか素直に謝った。

「そうそう。素直が一番・・・」

タママの行動に頷いていたケロロは言葉を失った。
夏美のTシャツはタママには大きい。
袖からちょこんと覗いた細い指は、袖口を掴んでいる。

何だか見てはイケないものを見たような背徳感を覚える。
なのに目が離せない。

タママはあたりに散らかった洗濯物を手に取ろうと
ふいに後ろを向いた。

「!!!」

ケロロは絶句した。
四つんばいのタママは、異常に扇情的だった。

タママの尻尾がTシャツの裾を阻害し、めくれあがった臀部が妙に艶めかしい。

こ、これは・・・なんと・・・
いよいよケロロは目が離せなくなってしまった。

「タママ・・・」
「はい?」
「さっさと、たたもう。そう!早く終わらせよ!」

いきなり物凄い勢いでケロロは洗濯物をたたみ始めた。見る見るうちに洗濯物の山が積み上がり、タママがあっけにとられている内に任務は完了した。

「じゃあ、これもたたまなくちゃですね。」

タママは自分の着ていたTシャツを脱ごうと裾に手をかけた。

しかしその手をケロロが握り、制止した。

「あ、あのさぁ・・・」

なんだかソワソワしているケロロにいぶかしげな眼差しを送るタママ。

「早く脱いでたたまないとナッチー達帰ってきちゃうですぅ」

ケロロの思惑を知らないタママはその手を振り払おうとした。
しかし逆に力が込められてしまった。

「軍曹さん?」

「そ、それはいいから」

しどろもどろになりながらケロロが目を泳がせ真っ赤になっている。

「離してくれなきゃたためないですぅ」

すると握られた手に力が入った。

「軍曹さん?」

「・・・なんで我輩が早く洗濯物すませたと思ってんの?」

据わった目、冗談に聞こえない声音。
いつもと違う雰囲気にやっと気がついた。

「そんなに力入れたら痛いですぅ。」

消え入りそうな声で、台詞の最後は唇の中でくぐもった。

「痛くしてんの。タママ、わかってるんでしょ?
なんで言うこときかないかな〜」


先ほどとはうってかわって強引な態度のケロロに対し、逆にタママが目を泳がせる。

「な、何の事です?」

この言葉が一層ケロロに火をつけたがタママは知らない。

・・・この後に及んでとぼけるのは無しであります。
心の中でケロロは呟く。

ケロロは手を握ったまま口元が触れそうな位まで前進する。
固まって動けなくなったタママに挑発するような声音で問いかける。


ケロロは不敵に笑った。

「惚けてもいいけど、タママ。早くしないと、このままじゃ夏美殿達、帰ってくるけど?いいの?ま、我輩はギャラリーがいようといまいとタママを憚りなく頂くけどねー」

タママの尻尾をそっと撫であげると
息を詰める気配がした。

「いや・・・」
「ん?見られると興奮するんだ、タママって。」
「ちが・・・」
言下に否定するタママを意地悪く眺める。

「・・・ぅ・・・軍曹さん・・・」
「それはどちらの軍曹かな?」

「ケロロさん・・・」
高揚した頬が誘っている。
それをケロロは我慢した。

「それで?」
「〜〜〜!いえないですぅ!!!」

「へぇ〜、ちゃんと言えない子には用はないでありますよ。一人で遊ぶがいいであります。」

「そんな・・・」

困り果てたタママを見ながら、ケロロはそっとほくそえんだ。

タママの顔で逡巡しているのが手に取るようにわかる。その様子からして、あと数分内でタママが甘い声で罵倒したあと、可愛らしくお願いするのがシュミレートできた。

ケロロはその瞬間が待ち遠しくてならなかった。
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