tamama said.

□斉藤さんにうってつけな夏
1ページ/10ページ

目がさめるといつもと違った風景と温かい腕(かいな)にくるまれている事に気が付いた。
シングルベッドは狭く、タママのベッドに比べスプリングが硬かった。
それが余計タママに実感させた。

ふいに顔をみたくなった。規則正しい寝息の主を起こさないように注意深く身じろぎをする。

はぅ!軍曹さん、カワイイですぅ…

薄く乾燥した唇、
固く閉じられた瞼、
ちょっと汚れた軍帽、
なだらかで頼りない肩。

本人が寝ている隙にいろんな発見をしてしまう。
その一つ一つが宝物みたいに
心にインプットされてゆく。

ちょっと顎を触ってみる。
うーん、猫みたいに気持ちよさそうでは無いし。

瞼にサンテFXネオ入れたら起きるかな?
鼻に豆入れたら、怒るかな?

それとも・・・

ろっくでなしー(ふんッ)
ろっくっでーなし(ふんッ)
なんてひどい、
あーうぃっ!(ふんッ)
って、梅ちゃんをやってくれるかな?

なんて考えるけれど、本当は。


キスしたい。


けれど誰にも見られていなくても流石に気恥ずかしい。

気持ちよさそうな寝顔にタママは夢見心地になる。ちょっと前まですごく悩んでいたのが嘘みたい。

心地よい皮膚の感触に、幸せを噛み締めた。

ふと、今、何時だろうと時計を見ると8時だった。

冷房の効いた部屋は喉が渇く。
潤いが欲しくてタママはそっとベッドを抜け出そうとした。

だが、突然右手を掴まれ、そのまま雪崩れ込まされた。

「ふぁあ!・・・軍曹さん?」

振り返ればケロロが悪戯に微笑んだ。

「おはよータママ。なんで目覚めのキスしてくれないの?」

「・・・もう!狸寝入りなんて意地悪ですぅ。
どこから起きてたんです?」

自分の行動が筒抜けだったことに言いようのない面映さでくらくらした。
照れ隠しにそんな想いをさせた張本人に枕を投げつけた。
次へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ