Orikyara Side
□星屑ろんりねす
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星屑ろんりねす
著:弓香織
サナトリウムの窓から見える風景はいつも悲しい。
木枯らしの吹きすさぶ中、一枚の枯葉が枝にしがみついている。
それがたなびく度「私の余命はあの枯葉が落ちるのと同時に燃え尽きるのね」まゆみは頬を涙でぬらすのであった。
「まゆみさん!希望を捨てちゃだめっ!きっとよくなるわ」
「そんな 事いって、お母様!もう一ヶ月よ!それにこの前、聞いてしまったの。看護婦さんと先生が”もうそんなに持たないだろう”って話していたのを」
「!!滅多な事をいうんじゃありません!」
母に叩かれた頬が赤らんだ。
まゆみは涙を流し、頬を押さえた。
「どっかいってちょうだい!」
「まゆみさん・・・」
母は力なく言うとのそのそと病室を後にした。
一人になると更にわびしくなり、隠しておいたプリンに手をのば(ページが落丁)
「俺はカツオ。こいつはタツオってんだ。」
二人の清掃員は窓越しに笑いかけてくれた。宙吊り状態にも関わらず緊張感のかけらも無い。
「それじゃ、カッチャンとタッチャンね」
つられてまゆみも微笑んだ。
タツオとカツオの間で揺れ動くまゆみ。
その時だった。カツオの命綱が前置きも無く切れたのだ。なすすべも無く落ちるカツオ。
「カツオォォォーーーー」
「いそのォォォーーー」
「誰のことだーあぁ〜(数行に渡り黒く塗りつぶされている。恐らく印刷屋のミスと思われる)
カルテの中に書かれていた病名は糖尿病だった。
「私の命はもってあと50年なんだわ!」
まゆみは泣き崩れた。
「泣くなよ、まゆみ。俺もあと30年だぜ?そんなに変わらないじゃないか」
「ぜんぜん違うわッッ!!!」
泣き止まないまゆみを見て、タツオは思った。
なんとしても伝説の交換日記を探し出すのだと。
第1章―完―