tamama said.
□逃げ水、如何
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タママは不機嫌だった。昨日見た夢は自分が女性化する夢だった。それに加え、朝起きたら何となく体がだるい。のそりとベッドから降りるとトイレに向かった。
会議の開始時間はとっくに過ぎていた。
「遅いよ、タママ二等!会議とっくに始まってんだよ!まったくもぉ」
「あ、はい。すみませんですぅ。」
精一杯、笑顔を作る。
昨日言われた事も重篤な痛手だったが、それ以上に自分の体の変化についてゆけなかった。
夢から覚めたら、夢じゃなかった。
ケロン人の性差の区別は外観からは判り辛い。
生殖器の違いや雰囲気くらいなものなので、すぐにはバレることはないと思うがそれでもタママは気がそぞろだった。
バレたら・・・どうしよう。
トイレで何度も見返して、やっと事実を受け入れることができた。
今まで生殖器がなかったので初めて見るそれは、なんだか気持ち悪かった。
心持ちフラフラするし、吐きそう・・・
鏡にうつる自分をくまなく観察すると妙に丸っこくなったような気がする。
それに力もでない。
まさかと思いながら急いでトレーニングルームに向かい
タママインパクトを試し撃ちした。
「やっぱり・・・キレがなくなっているですぅ・・・」
軍人が、それも突撃兵にとって体の変化は死活問題だ。使えないと知れてしまったら、確実に前線から退けられるだろうな。
そうなったら前任務か・・・
そうなるとペコポンに駐留しているケロロとあえるのは年に一度あるかどうか。
それも怪しい。
絶対バレてはだめだ。
「タママ二等!」
突然名前を呼ばれ、はっと我に返った。
ケロロがじっとこちらを見ている。
「我輩の話、ちゃんときいてる?あとで話があるから残るようにね。」