tamama said.

□逃げ水、如何
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会議が終わり、ケロロに促され軍曹ルームに向かう間もタママは気が気じゃなかった。

はぁ〜また小言言われるんだろうな。
それともバレたかな・・・
いや!そんな簡単にバレるわけがない。

そうは思っても動悸が早くなった。

「タママ?」
「は、はぃ!」
思わず目を閉じた。

「?!」
頭の上を軽く二度触られた。
「大丈夫?部屋に入ってきたときから青白い顔してたけど。」
目をあけると、想像以上に近い位置でケロロが顔を覗き込んでいた。

「気分悪い時は無理しなくていいからさ。」
「軍曹さ・・・ん」
ちゃんと見ててくれたんだなと思うと、キュンとした。

「それに、昨日は我輩言いすぎたね。ごめん、タママ。」

「ううん、気にしてませんから。なんかちょっとホームシックになっちゃって。ごめんなさいですぅ。」

また嘘をついてしまった。
本当はすごくショックだった癖に。
いつから僕は天邪鬼になったんだろう。

なのに軍曹さんが抱き寄せるから・・・

あ、やばい。気分も悪いのにいきなり優しくされたから・・・表面張力の限界が起きた。
一度決壊した場所から次々に涙が落ちる。

「・・・タママの家族ってどんな人たち?きっと、とても綺麗で優しいご両親なんでありましょうな。」
答えようとしても嗚咽しか出てこなくて、まともに喋れなかった。こんなに本気で泣いたのはいつ以来だろう。

そんなタママに構わず、ケロロは続ける。

「ご家族には及ばないでありますが、我輩達もファミリーでありますよ。タママが元気がないと我輩も辛いんだよ。」
あやすように背中をポンポンと優しく叩きながら耳元で囁かれる。

タママはいつの間にか泣きつかれて眠ってしまった。

「やれやれ、困ったお姫様であります」
そっと体を引き離し、ケロロはお姫様を抱っこした。

「・・・ん。」
タママが目が覚めると見覚えがある場所だった。けれど自分の使うシーツと違ってなんだか男の人の匂いがした。
部屋を見渡したら緑の背中が見えた。

「あ・・・」
軍曹さんのベッド?
「起きたでありますか。」
振り返り、ニコリとケロロが笑った。
床には作りかけのガンプラが散らばっていた。

そういえば、会議の後・・・
自分の状況を把握すると同時に急に恥ずかしくなった。
こんな腫れぼったい瞼で、きっと変な顔してる。

「家族なんて偉そうな事言っちゃったけど、我輩じゃたよりないよね?」

「そんなことないですぅ!
ただ解散した後とか、一人で寝ているとなんか寂しくなっちゃって。情けないですよね」タママは必死に、けれどお弱々しく微笑んだ。

いつまで自分はここにいられるの?と考えながら。

「タママは甘えん坊さんですなぁ」
ベッドのふちに軍曹が腰掛けるのでタママはシーツを引き寄せ顔を隠した。
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