tamama said.
□逃げ水、如何
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それから数日、タママはケロロの元を訪ねることはなかった。いつもタママがガンプラの手伝いをしていたその場所は、モアがいた。
ケロロは普段と変わらぬ様子でガンプラに勤しんでいた。
「タ、タママ君?」
次の会議に出席したタママをみて一同は目を見張った。その気配を察知してかタママが少し後ずさった。
妙に空気が重い。
そんな中、空気が読めないドロロが口を開いた。
「タママ君、なんだか最近艶っぽくなったでござるな」と話しかけた。
その言葉に一瞬怯んだが慌ててタママは打ち消す。
「わかりますぅ?最近モモッチとコラーゲンゼリーにハマってるんですよねぇ。
あ、軍曹さんも最近雨の日多かったからツヤツヤですよね」と苦し紛れにおどけてみせた。
これまた空気の読めないドロロが「そういう意味じゃないんだけど」と笑った。
アハハ、と乾いた笑みをこぼした。
だがタママの脳裏にひとつひらめいた。
そうだ、ドロロ先輩に接近戦の稽古をつけてもらおう。
会議が終るとすぐにお願いしてみた。
ここ最近、急激に女性化が進んでいるのをタママは自覚していた。
それと共に力もどんどん失われてゆくことも。
実は何度かケロロに会いに行こうとした事があった。
けれど、いつも隣にいた場所にはあの女がいて、楽しそうに二人で笑っていた。
嫉妬と悔しさと悲しさと、惨めさがない混ぜになった感情が堪え切れなくなってタママはその場から逃げ出した。
前の自分なら腕っぷしに自信があったからモアに対抗しようという気持ちも起きた。
けど、今は自信は全くなくなっていた。
モアはいい。
外見の可愛さもさることながら、性格も可愛い。おまけに星を簡単に壊すほどの力を実は秘めている。
どうやっても今の何もない、自分は敵わないような気がした。
嫉妬し過ぎて、ほらね、こんなに醜い。
そうして、どうしたらいいのか分からず、悶々とした日々を過ごしていた。
どうにかして戦闘要員でいられるようにしなくてはこのままでは本部帰投される。
タママは必死にドロロの修行に食らいついていった。
それから一週間。
久しぶりの会議なのに朝起きると腰とお腹に鈍痛がある。
まさか・・・
そのまさかが的中した。血が性器を収めたポケットに溜まっていた。
そうか、これが生理というものなのか。
モモッチに今日は会議に行けないと冬樹に伝えてもらった。