tamama said.

□果てない午睡
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正確には喧嘩すら成立していない。

草木も眠る深夜。
タママは下腹部に鈍痛を感じ目が醒めた。

隣でスヤスヤと寝息を立てているケロロに訳も無くムカついてタママは名前を呼びながら揺さぶった。

「・・・ゲロツ。どったの?タママ」

寝ぼけまなこを擦りながらケロロは起きた。

「お腹痛いですぅ」
顔面蒼白な上、涙目のタママにケロロは慌てふためいた。

「え!大丈夫?えっと、確か戸棚に宇宙ロキソニンがあったはず」

言うが早いか、いそいそとベッドから抜け出しケロロは痛み止めを探しだした。更に手際よくグラスに水を汲んできた。

「ささ、これ飲んで。この辺が痛いの?」と言いながら、勝手にタママのお腹をそっとさする。

しかし、その手をタママは振り払った。
体が微妙に震えている。

「折角寝ていたのに起こされて、なんで怒んないんですか!他に言いたい事はないんですぅ?!」

突然、悋気したタママにケロロは驚いて固まった。

「え?お腹痛いっていうし・・・」
「〜〜〜!もぉいいです!」

タママはそのまま背を向けて再びベッドに潜り込んでしまったので、ケロロは呆気にとられていたがやがてタママの隣に再び戻ると小さく「ごめんね」と言って頭を撫でた。

そんな風にされると余計、惨めな気分になる。

痛みでイライラしたのもあるけれど、それだけじゃない。

なんでこんなに優しくするの?
この優しさはいつまで続くの?
そう思うとタママは不安でしょうがなかった。

いつも、そう。

どんなに我侭言っても、怒っても、喚いても軍曹さんは何も言わない。
文句を言っても、「うんうん」と聞くだけで。

まるで一人相撲している気持ちになる。
いつまで子供扱いしているのだろうか。
それともこの優しさは、今だけなの?
僕に興味が無くなったら、軍曹さんはどうなっちゃうの?

二人の時間が無限じゃないのを知っているから余計に試したくなってしまう。

なのに・・・優しく子供扱いするばかり。

タママはそれが苦しくなった。
いつかケロロが爆発して、自分に愛想を尽かすんじゃないか・・・最近、そんなマイナス思考ばかりがよぎった。

優しくされるのが嬉しいのに、苦しい。
自分でもおかしいとは思うのに、気持ちが暴走して止まらなかった。

こんな事じゃ、本当に嫌われちゃう。
それどころか、このまま一緒にいたら軍曹さんをもっともっと傷つけてしまう。

ずっと一緒にいられて、幸せという確証があれば不安なんて感じなくてすむのに。

ぼんやりホログラムを眺めていたら、急にその言葉が頭に浮かんだ。




「クルル先輩・・・」
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