tamama said.

□果てない午睡
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エタノールの匂いが漂う清潔な白い一室。
看護志がパタパタと忙しそうに早足で駆けている音が遠くでした。
目の前の白衣の背中がくるりと自分の方を向いた。

「おめでとうございます。」

先生がにっこりと笑うから、病気なのになんで?
タママは首を傾げた。

「ご懐妊ですよ」




「ねぇねぇ、ぐんそーさん。今日は何時くらいに戻ってくるの?」

「ん〜マイハニー。どうしたんだい?今夜は7時にはあがれそうでありますよ」

「うふふですぅ。じゃーあー、なるべく早く帰ってきてね、だーりん」

なになにー。今夜はタママからお誘いでありますか!!

メールを見ながら一人ウフフと笑うと、傍にいた部下が薄気味悪そうにケロロを見た。
しかしケロロは一向に気付かない。

侵略予算の試算表を写したまま、スライドは動かずにいた。

「あのぅ、大佐?まだ話の途中なんですが・・・」

ご飯?お風呂?それともタ・マ・マ?
ヤフー!タママからいっただきまっす!

お約束の誘い文句を思い浮かべた。

自然と顔がにやけてくる。あーもう。
結婚して3年、付き合って8年になるのにいまだに付き合いたての気分!な我輩たち。
あー早くおわんねーかな、会議。ケーキでも買って帰ろうかな。タママ喜ぶかな〜

「・・・大佐が上の空なので、一時中断いたします。それでは5分休憩でお願いします」
会議の進行役の部下は溜息交じりに他の幹部らを促した。

「ただいま〜!ゲロッ!」

タママが飛び出してきていきなり飛びついてきたから我輩はお土産のケーキを落としてしまった。

「元気なお出迎えでありますな〜。ケーキおとしちゃったよ」

しばらく無言で我輩の胸を頭でぐりぐりしていたタママが顔をあげると満面の笑みだった。ほんのり赤らめた頬が愛らしい。

「おかえりなさい。そしてありがとうですぅ〜」

「あはは、タママの好きなヤツだよ。窓から帰ってくるとこみてたの?」

「うん、見てたですぅ。でね、ケーキも嬉しいんですけど・・・」

しどけない笑顔のまま、珍しくタママは言いよどんだ。

「うん?」

一旦、下を向いたタママはひときわ大きく息をすって言った。

「僕にぐんそーさんの赤ちゃんプレゼントしてくれてありがとうなんですぅ!」


あかちゃん!!!


しばらくその言葉を反芻させる。ぶるぶると体が震えた。

気がつけばタママを抱き寄せていた。
言いたい事はたくさんあるのに・・・感動しすぎて言葉が出てこない。
こんな事、付き合った当初以来だ。

「我輩も言わせて・・・タママありがとう」

広い宇宙でたくさんの人の中から探して選んでくれて、そのうえ只一人の特別な人だと約束してくれて、ありえないくらいの確率でプレゼントしてくれて。

「もぅ我輩をこんなに幸せにしてどうするであります?」

「いっぱーい、褒めて。なでなでして。」

とびきりの笑顔でタママが言う。
我輩はそっとタママを頭を撫で、それからまだ細いお腹を撫でた。

「いいこ、いいこ。早くおっきくなって顔みせてね〜」

ふふ、と二人で顔を見合わせる。

ぐちゃぐちゃになったケーキで二人でささやかなお祝いをした。いや、三人で。
そう思っていた・・・
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