tamama said.
□斉藤さんにうってつけな夏
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「あーもう、なんでいないですぅ?」
手紙に書いてあった約束の場所に、昨日も、一昨日も、親父の師匠は来なかった。
一日中ぼんやり待っていたのに、思わぬ肩透かしをくらいタママは苛々していた。
おかげでケロロとも会えずにいた。
3日目の今日。
折角軍曹さんからデートのお誘いがあったのに!!
・・・待ってられっかよ!親父に後から文句いってやる。
約束の場所に向かっていたタママは途中で踵を返し、自分の欲望に忠実になろうと日向家に向かった。
日向家の近くまできた時、道端に宇宙ペーパーが落ちているのを発見した。
こんな所に珍しい。
近寄って覗きこんでみると、タママは絶句した。
”AVだんゆう”
小学生よりも、きったない字でその言葉がびっちりと書かれていたのだ。
あまりに異様なその紙に、タママは思わず後ずさった。
何コレ。
全身が粟立ち、ブルブルと身震いをした。
蝉の声が大きく聞こえる。
アスファルトからは熱が立ち上り、じっとりと汗をかいているのになんだか寒気がした。
「一体誰がこんなものを落としたですぅ・・・」
気持ち悪く思いながら、悪態をついた。
きっと、とんでもないハードゲイな変態に違いないですぅ。
しかも日向家の近くって、もしかして軍曹さんが狙われてる?
最悪の状況を考えながら、タママはもう一度筆跡をみた。
「いってきまーす!」
冬樹の声が聞こえ、タママは顔をあげた。
丁度、冬樹が家から出てくるところだった。
どこかに行くところなのだろうか。
タママは声をかけようとして口を大きく開けたが、そのまま止まった。
何ですぅ・・・このオーラは!!