tamama said.

□斉藤さんにうってつけな夏
4ページ/10ページ

「あーもう、なんでいないですぅ?」

手紙に書いてあった約束の場所に、昨日も、一昨日も、親父の師匠は来なかった。
一日中ぼんやり待っていたのに、思わぬ肩透かしをくらいタママは苛々していた。
おかげでケロロとも会えずにいた。

3日目の今日。

折角軍曹さんからデートのお誘いがあったのに!!
・・・待ってられっかよ!親父に後から文句いってやる。

約束の場所に向かっていたタママは途中で踵を返し、自分の欲望に忠実になろうと日向家に向かった。

日向家の近くまできた時、道端に宇宙ペーパーが落ちているのを発見した。
こんな所に珍しい。
近寄って覗きこんでみると、タママは絶句した。

”AVだんゆう”

小学生よりも、きったない字でその言葉がびっちりと書かれていたのだ。
あまりに異様なその紙に、タママは思わず後ずさった。
何コレ。

全身が粟立ち、ブルブルと身震いをした。
蝉の声が大きく聞こえる。
アスファルトからは熱が立ち上り、じっとりと汗をかいているのになんだか寒気がした。

「一体誰がこんなものを落としたですぅ・・・」

気持ち悪く思いながら、悪態をついた。
きっと、とんでもないハードゲイな変態に違いないですぅ。
しかも日向家の近くって、もしかして軍曹さんが狙われてる?

最悪の状況を考えながら、タママはもう一度筆跡をみた。

「いってきまーす!」
冬樹の声が聞こえ、タママは顔をあげた。
丁度、冬樹が家から出てくるところだった。
どこかに行くところなのだろうか。
タママは声をかけようとして口を大きく開けたが、そのまま止まった。

何ですぅ・・・このオーラは!!
次へ
前へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ