keroro said.

□聖人化大作戦
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いつものように遅々として進まない侵略会議。
だが、いつもと違うのはケロロの視線が
ドロロにのみ向けられているという点だった。

ケロロの視線を感じて、ドロロはもじもじしている。
いつもは忘れ去られがちな存在の僕を・・・ケロロ君が見てくれているなんて!
なにか企んでるの?
嬉しいような、気持ちが悪いような複雑な面持ちでドロロは照れた。

一方、タママは全然視線を合わせないケロロに怒っていた。

なんか今日の軍曹さん、ドロロ先輩ばかりみてる。
あーん、こっち見て欲しいですぅ!
こっち見ろー!とタママは念力を送った。

「おい、ケロロ・・・」

苛々した面持ちでギロロは口を開いた。

「なんでありますか、ギロロ伍長」

「なんでさっきから、ドロロばっかりみてるんだ。
しかも貴様、質問されたら普通相手の方をみて話すのが礼儀ってもんだろうが。
なぜドロロしか見ない?
それになんだ、この部屋は!!」

ギロロのいう、”この部屋”の状態は目の醒めるようなスカイブルー一色に塗りたくられていた。
当然、照明もブラックライトにかえてあり体の白い部分が青白く浮かび上がっている。

なんか今日の軍曹さん、思いっきり変。
タママは少し悲しくなって、下を向いた。
気持ちまでブルーだった。

折角もってきたお菓子も、モアが用意したジュースも、食欲が失せて手をつける気になれなかったのだ。

部屋全体にメロンの甘い香りが漂っている。

タママは手持ち無沙汰に欲しくないジュースに口をつけ思った。
時々、軍曹さんが何を考えているのか分からなくなる。
こういう時、僕は軍曹さんについていけないですぅ。
タママがしょんぼりしていると、思いもかけずクルルが割り込んできた。

「それはなぁ〜欲を抑える効果があるからなんだぜぇ」

「欲?」

「わーわー!!!な、なんでもないんでありますよ。
単なるダイエット法の一つなんでありますよ!うん、ダイエット。
強いていうなら食欲抑制法かな〜?」

ケロロは大げさな位、慌てている。

「へぇ〜。軍曹さん、ダイエット始めたんですぅ?」

「う・・・うん、まぁね」

「えー!僕そのぷよぷよお腹好きなのにぃ」

ガッシャーン!という盛大な音を立ててケロロは椅子から転げ落ちた。

「軍曹さん?大丈夫ですぅ?」

「おじ様!」

「・・・だ、だいじょうぶ。もーまんたい。」

腰をしこたま打ちつけたのか、さすっている。

「僕、宇宙サロンパス持ってるですぅ!」

タママは超時空をさっと開くと、ごそごそと物色しはじめた。

「はい、軍曹さん」

「え!いいよ、そんなたいした事無いから!」

血相を変えてケロロは制するが、それを聞かずにタママはシートをはがし始めた。
そしてケロロの後ろに回ると腰をさすった。

「!!!!」

「痛いの、この辺ですぅ?」

昔、尻尾が生えていたあたり・・・尾てい骨を
タママが優しくさする。
ケロロの背中に一挙に快感が駆け抜けた。

「ふぇ・・・っ」
ケロロは思わず声が出してしまった。

「?ここですか。じゃ、貼りますね。」
湿布の冷たい感触にまた体が揺れた。

「隊長には、意味なかったっすね・・・」
クルルはニヤニヤと笑っていた。


昨日の夜、クルルから教えてもらった方法は
以下の通りである。

・暖色系はなるべく視覚に入れない。
血の巡りがよくなり、また興奮しやすくなる色だから。
緑や青い色などは興奮を鎮める。
青は最強。
→ギロロ、クルル、モアは暖色系。
タママは元凶なので当然見ない。

・リラックスさせるために、果物の香りがよい。
りんごやメロンが特に有効。
→林檎は赤いので、メロンで。

・宇宙チェイストツリーを飲む。
ハーブの一種。昔から修道院などで飲まれている。
制淫効果がある。ただし飲みすぎると
虫が皮膚を這う感覚に襲われるため飲みすぎに注意。
→事前に飲んでおく。

しかし、今のケロロにはまったく効果がみられなかった。
タママの吐息が、首筋に当たる。

焦ったケロロは死んだジーさんやバーさんの
顔を思い出したり、計算したり、もっとも高貴なガンプラとはなんぞやとか、必死に考えて見たのだがそれは鎮まるどころか元気になっていく。
ああ、後ろにタママがいんのに!

「あ、ありがと。も、着席してくれないかな?」

「どういたしまして」
にこっと無邪気にタママが笑う。

ケロロは苦悩した。
うう、タママが可愛いからいけないんであります。

我輩・・・こんなとこで勃っちゃった・・・

こうなったら絶対ばれない様に平静を装うであります。
冷や汗をかきながら、思った。
机の下で格闘しつつ意味の無い熱弁をケロロは繰り返した。
ケロロの災難はまだまだ続く様相を呈していた。

fin.
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