tamama said.
□あなたの知らない私
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その言葉にケロロ以上にギロロが激怒したのは言うまでも無い。
「お前、ケロロが真剣に悩んでるの知っててそれはないだろうが!」
「ま、まぁまぁ。ギロロ、落ち着いて。こういう返答されるのはなんとなくわかっていたからさぁ」
自分が怒りたかったのに、お株をとられて何故だかケロロはあやす側に回っていた。
「ククッ。隊長、分かってんじゃないのぉ〜。ま、タママの出生にその秘密があると俺は踏んでいるんだがなぁ」
「タママの出生・・・でありますか?確か、小隊編成時に見た資料では身元引受人がいなかったような気がするんだけど。」
「それ、でっち上げだぜぇ〜」
今日の天気について話すかの如く、クルルはのんきに暴露した。
「へぇ〜そうなのぉ〜・・・ええええ!!!」
「はぁ?そんな事あるわけがないだろう?」
クルルは素っ頓狂な声を上げる二人をおかしそうに上から見ている。どうやら二人が期待通りの反応をするのが面白いらしい。目元はビン底眼鏡で覆われているが表情筋の動きで大体どんな表情をしているか分かる。
しかし衝撃的事実の前に、そんな事は二人にとって瑣末な事でしかなかった。
数分間、あっけに取られた顔をしていたケロロだがやがて腕組みをしながら首をかしげた。
「そういえば、正月とか休みはしょっちゅう国に帰っているみたいだけど・・・親戚か友達に会いに行っているとばかり・・・」
「軍に提出された資料には確かに隊長のいった記録が残っているが、ちと裏ルートから情報を入手したら・・・しりたい?」
「貴様ァ!どうせまたハッキングしたんだろ!」
ギロロの指摘に十中八九そうなのだろうと思ったケロロだったが、あえてそこはスルーした。今欲しいのは情報だった。
「し・・・知りたいであります。」
「オイオイ〜、死に物狂いな眼で俺を見ないでくれよー。そうまでして知りたいなら、アレやってくれないとヤーダー」
「あ、”アレ”でありますか」
「そう、”アレ”」
ケロロは俯いて考え込んでいる。
そんなケロロを心配してギロロが声をかける。
「ケロロ、本気なのか。やめた方がいいと思うが・・・」
「いや!こんな事ぐらいで我輩、諦めたりしないであります!軍人男子、これしきの事ぉ!!」
ケロロは意を決した面持ちで一旦、部屋から去って行った。
ギロロは思う。
本人に直接聞くべきなんじゃないのか?と。
それを裏でこそこそ探るのは・・・軍人としての前に、人としてどうなのかと。
しかし、自分も夏美の事になると見境なくなる節があるので言える筋ではない。
結局、ギロロは傍観を決め込んだ。
「待たせたな、であります。」
戻ったケロロは青く染めた蓑を羽織っていた。その上、すました顔で水タバコを加えている。身を屈めたかと思うと、さっと黄色いじゅうたんを引き伸ばした。
「その者 青き衣をまといて 金色の野に降り立つべし」
まるで別人の声でケロロは言った。
ギロロとクルルは固まっている。
二人の様子が目に入らないのか、気にせずケロロはジャンプした。
そのまま黄色いじゅうたんの上に着地した。
「お望みどおり、やったから。ね?」
早く教えてという羨望の眼差しでケロロはクルルを見た。
クルルはおもむろに耳当てのようなヘッドホンに手を当てると”嫌な音”を発した。