tamama said.
□あなたの知らない私
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「そ、それじゃ・・・」
3人の居る軍曹ルームに再び静寂が宿る。
しかし、ケロロだけが青白い顔をして俯いていた。
そんな・・・嘘だ。
あの頑是無いところがあって無邪気なタママが、ロスス家とつながりが?
ロスス家にはその財力だけでなく、黒い噂が付きまとう。
先の宇宙大戦で同盟を結んだばかりの新興星に貸付け、開戦を後押しした。
結果、新興星は戦争に勝ったものの大した戦果を挙げることが出来なかった。
新興星は、ロスス家へ利息返済するために経済が悪化、軍縮せざるをえなくなってしまった・・・。
そうして弱体化したところで敵対星が新興星に侵攻。
敵対星に陥落寸前というところで”新興星を守る”との名目でケロンが戦争に乗り出す。
結果的に、敵対星を制圧。ケロン星の支配下におくこととなった。
結局、この大戦でロスス家に莫大な財産が転がり込んできた。
こうなる事をケロン軍とロスス家は予測していたとの向きもある。それどころか、この戦争自体がロスス家によって仕組まれた可能性も一部でまことしやかに囁かれていた。
ビジネスとしての戦争――・・・
しかし、報道規制が敷かれているのか表では全く聞かれない話だけれど。
「たまたま、入隊時の資料に一部改竄された痕跡を発見してナァ。追跡した結果、今は空欄の部分に書かれていたのが、ロスス家当主、ラススだったってこった。
ガキが何で隠してんのかは知らないスけどね。
ま、世が世なら貴族の御子息・・・あ、今は令嬢だな。」
「令嬢・・・」
ケロロは項垂れながら呟いた。
あまりに自分の世界と違い過ぎる。
のっぴきならないその言葉すら、雲の上のそのまた上の存在でしかない。
しかし、クルルが嘘の情報を手に入れる筈は皆無に等しかった。
喉が、焼ける様に熱かった。