SSその2

□恋風
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"隊長ハタママニ"

らしくもないクルル先輩の慰めに笑った日から数日が経った。
いつも通りの会議中、ケロン軍人事部より届いた一枚の葉書に書かれていた言葉に先輩達が派手に音を上げながら立ち上がった。

かく言う僕も青天の霹靂な事態にうまく飲み込めなかった。

「え…?ボクが…隊長に!?」

辞令交付にしてはあまりに簡素な葉書におかしいと思いながらも、先輩達が僕に近寄り肩を叩いた。

「…という訳だ。よろしくな」

「?ですぅ〜〜??」

「ハデにやろうぜ…クックック」

「ちょ…ちょっと待って下さいよ、みなさん!!」

軍曹さんが半ば取り乱しながら異議を唱えたけどギロロ先輩はそれを突っぱねた。

僕は何がなんだか分からずにぼーっとその光景を見ていた。

僕が?なんで?
頭の中がパニックのまま放心状態の軍曹さんを横目で見た。

”そんな訳ある筈がないじゃないですか。なんかの間違いですよ。ねっ、軍曹さん。”

口を開きかけた僕は、その言葉を発しないまま口をつぐんだ。

焦る軍曹さんの隣にいるあの女が視界に入り、僕は頭の片隅が急速に冷めるのを感じる。

大体、一番下っ端の僕がいきなり管理職をまかされるだなんてありえない。

それは分かっていたけれど先輩達に押し切られ僕は促されるままに、そして軍曹さんを振り返らないように部屋を出た。
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