のんびり小説

□若さへの執着
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バスルームで

お風呂上がりに

鏡に映った自分に愕然とした。


持っていたタオルを落とし、腕がだらんと垂れた。



歳の割に若いと良く言われる。

自分でもそう思う。


だがどうだ。

今、鏡に映る自分は、自分の知っている自分ではないと感じた。
胸に手をやる。
ウエストラインをなぞった。

「やだ…」

鏡に触れる。

「やだ〜〜〜っ!!」


ベジータは寝室の簡易冷蔵庫からミネラルウォーターを取り出していた。

そこへバスルームからブルマが駆け寄ってくる。

「なんだ。騒々しい。」

彼女がうるさいのはいつもの事だ。
ミネラルウォーターを一口含んでブルマを見やる。

ブッッ!!

含んだ水をふき出してむせるベジータ。
ブルマは全裸だった。

「ゴホッ…お、おまえ、なんて格好してやがる!!」

顔を赤らめ目を背ける。

「ベジータ!!見て!」

「な…」

「見てよ!!」

ブルマの泣きそうな声にチラリと目をやる。

「み、見たぞ。」

「どう!?」

「どうって…」

ベジータは彼女の意図がわからない。

「ちゃんと見てよ!」

ベジータは頭痛を覚えた。
ブルマが突然おかしな事を言うのはいつもの事だったが、素っ裸で何なんだ。

「何かおかしくない!?」

手足を大の字に広げて立つ妻に、とにかく何か着ろ。と自分が肩にかけていたタオルを差し出す。

「見たくもないって事!?」

ブルマの言葉にピンと来て額に手をやる。

あれだ。最近気にしているやつだ。若年期間が長いサイヤ人に対して、自分がどうだ、とか言うヤツだ。
コイツは何回言っても理解しない。

「…だから…」
言いかけて止めた。
行動で示した方が早いと思ったからだ。
うるさい口も塞げる。

近付こうとした途端、ブルマは駆け出した。

「自分だけ若いと思って!覚えておきなさいよっ!!」

ビシッと指を差して吐き捨て、走り去る。

「…アイツ…あんな格好で…」

ベジータはバスローブを持って慌てて追い掛けるが、妻はブラの部屋に入ったようだった。


最近はブラもマセてきて、用事があって呼びに行っても、やれ「レディの部屋に入るな」だの「パパのエッチ」だの言ってくる。


ベジータはため息をついて自室へ引き返した。
どうせすぐ戻って来るだろう。
そして朝にはケロッとしてるに決まってる。



しかし、ブルマが部屋に戻る事はなく、朝になっても姿を表さなかった。
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