のんびり小説
□若さへの執着U
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スキンケアを終え、夫が寝ているベッドに滑り込んだ。
「ベジータ、起きてる?」
返事は無かった。
「寝ちゃったの?」
自分に背中を向けて横たわるベジータの体に腕を回す。
「…なんだ。」
ベジータは振り向かずに言った。
「起こしちゃった?ごめんなさい。」
「…いや。」
男は短く言う。
「どうして私に触れないの?」
回した腕に少しだけ力を入れて言った。
ベジータから返事は無かった。
「…私の事、嫌いになっちゃった?」
背中に口付けてみるが、返事がない。
男の無言は肯定である事が多かった。
今回も、そうなんだと思い、回した腕を引き抜く。
ブルマの目から涙が溢れた。
「ち、違う!」
引き抜かれた腕をベジータが掴む。
「そういうんじゃない……ただ……」
ベジータは困っていた。
自分でもわからない感情に。
怖かった?
自分の知らないブルマになって行くのが?
一緒に過ごした日々を否定されるようで?
一緒に重ねたと思っていた年月は一瞬で巻き戻り、今までのは嘘だったのよ、ただの夢物語よ、と言われているようだった。
次の言葉が出て来ない。
そんな事ない、愛してると言えたらどんなに楽か…
「…今のお前は俺の…知らないお前だ……」
やっと紡ぎ出した言葉は、そんな言葉だった。
だがブルマには伝わった。
あぁ、また独りぼっちになったと、思わせてしまったのね。
「じゃあ、知って。今からでも遅くないわ。」
言ってベジータに口付けた。