SSベジブル
□王子的教育論
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久しぶりにC.Cに帰ると赤ん坊がいた。
あれだ…
…俺の…ガキだ。
あの女、本当に産みやがった。
女はトランクスと名付けられたそのガキを抱いて近付いて来た。
「はぁい、トランクス。パパでちゅよ〜」
トランクスは俺をジッと見ている。
成る程、戦闘力はそこそこだ。
サイヤ人と地球人とは相性が良いのか、混血は高い戦闘力を持つらしい。
…カカロットのガキのように。
「あ…あ…」
トランクスが手を伸ばして触れようとしてきた。
「チッ…」
俺は舌打ちをしてそれを避け、バスルームへ向かった。
「冷たいパパでちゅね〜。ベジータ、私にはいいけど、この子には優しくしてあげてよね。」
背後から女の声が聞こえる。
シャワーを終え、自室へ向かうと、ガキがベッドに寝かされていた。
…なにが優しくだ。
ガキは眠りから覚めて、俺を見つめる。
強い目だ。
きっと強くなる。
俺は父王の言葉を思い出した。
優しく、だと?知るかそんなもの。
俺は腕組みをし、トランクスを睨む。
「いいかトランクス。お前はこの俺の…惑星ベジータの王子である、俺の子だ。お前は強くならなければいけない。間違ってもカカロットの息子になんぞ負ける事があってはならん。分かったな!」
トランクスは負けじと睨み返してくる。
良い目だ。
ニヤリと口元をあげる。
「そんな事言ったってまだ分かんないわよ?言葉もわかんないし。」
突然声がして、女が入って来た。
俺は慌てて背を向けた。
…何を慌てる必要がある…
そう思った時、女の声がした。
「トランクス〜あれがパパの精一杯の優しさよ〜。わかりにくいわよねぇ〜。」
女の言葉に舌打ちし、部屋を後にした。
ガキ等知らん。
戦闘力が高ければ強い戦士になり、弱ければ辺境の星に送られる。
この生ぬるい環境の中で強くなるとは思えんが、弱ければ死ぬだけ。
それだけだ。
ガキの目の色を思い出した。
サイヤ人は黒だ。
アイツは…紫。
母親があの女なら対して期待も出来んな。
ふとガキの事ばかり考えている事に気付いた。
イライラする。
知るか。
そう、俺には関係ない。
俺には。