SSベジブル

□アンダーウェア
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それは地球に来て間もない頃。
ベジータは引き出しの中身に困惑していた。

黒い、上質の洋タンスの一番上。
アンダーウェアが入っていると説明を受けた場所。

先程バスルームに用意してあった衣類には、ベジータの言う”アンダーウェア”は含まれていなかった。

仕方なく、用意されてあった1分丈のズボン?を着用したのだが、どうも落ち着かない。
ベジータの知っているアンダーウェアといえば、急所をプロテクトするためのものだ。

渡された地球の服も、イマイチフィット感に欠ける。

そこで、あてがわれた衣類から、小マシなモノを選ぼうとしたが、アンダーウェアの時点で頓挫した。

どれもこれもペラペラで機能的じゃない。そのくせ色揃えだけは豊富だった。

右端のモノから手に取ってみる。
一部丈のズボンで、着替えに入っていたモノと同じだ。

次に手に取ったのは先ほどのモノよりはフィット感があるモノ。だが、ペラペラには変わりない。

その次は前の部分以外ほとんどヒモで出来ている。論外。

最後は、ベジータの知っているアンダーウェアと同じ形のもの。白いものが多かった。

種類はその4種類のようだ。

ちょうど部屋の前を通りがかるカカロットの息子の気を感じて呼び止めた。

「オイ。ちょっと来い。」
御飯は少し戸惑ったが、敵意は感じられないので付いて行った。

「貴様のアンダーウェアはどれだ。」
ベジータが引き出しを指差すので飛び上って見てみる。
色とりどりのパンツ達があった。

「えっと…コレです。」

御飯が指差したのは一番最後の白いモノだった。

「地球のアンダーウェアとはこれか?」
御飯はベジータの顔を見たが、とても冗談を言っている様には見えなかったので、至って真面目に答えた。

「そうです。」

どうやらこれが普通らしい。
こんなペラペラなものでどうやって急所を守るというのか。
戦場では命取りになると言うのに。
地球人ってのは本当に平和ボケしてやがる。

「もういい。」

それからベジータは、地球では「ブリーフ」と呼ばれるパンツを愛用した。



それが地球では一般的に子供や老人が好んで身につけるもの、と知るのはまだ先のこと。

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