SSベジブル

□An Ideal Husband
〜理想の夫〜
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カメハウスに帰った18号はクリリンの様子を探った。

夫はマーロンを背中に乗せて、"お馬さんごっこ"をしていた。

和やかな雰囲気に思わず笑みがこぼれる。

「いつ飲ませようかね…」

父親が豹変したらマーロンがびっくりするだろう、と考え、『マーロンが眠ってから』と言う考えに達した。

幸い、武天老師と烏龍も出掛けている。


マーロンが寝付いた後、浜辺で涼むクリリンにビールを持って近付く。

缶のビールの半分を自分のグラスに入れ、半分は既に薬が入ったグラスに注ぎ、クリリンに手渡した。

「良い夜だね18号。俺はキミがいてくれて本当に幸せだ。」
クリリンが海を見つめて言う。
「18号は綺麗だし、本当に俺なんかには勿体無いよ…」

クリリンは良く言う。
18号はそれが気に入らなかった。

「いつも言ってるだろ。嫌なら一緒にいないさ。」

「ご、ごめん18号。」


ビールを飲み干し、シャワーを浴びに家へ入った。

…なんだ、ブルマの奴。全然変わらないじゃないか。


シャワーを終え、身支度を整えていると、後ろのドアが開いた。

「遅いじゃないか。」

声に振り向く。
ドアにもたれてクリリンが立っていた。

「そ、そうかい?」

鏡越しに目が合う。


「焦らしているのか?」

クッと口元を上げて笑う様に違和感を覚えて振り返る。

「!?」

振り向くと同時に唇を塞がれた。

深いキス。
いつもの、少し躊躇いがちなそれとは違う。

「んんっ…」

2人の唇を銀の糸が引く。

「どうしたんだいクリリン!?」

クリリンは親指で唇を拭うと18号を見据える。

「何がだ。」

その様子に、18号は背筋がゾクッとなった。

『…これじゃあ、まるでベジータじゃないか!!』


後ずさる18号をクリリンは許さない。

「どこへ行くんだ?」

口元に笑みを浮かべたまま近付いてくる。

「よ、寄るんじゃないよ!クリリン!ひっぱたかれたいのかい!?」

18号の悲鳴にも似た叫びにも動じない。

「ほぅ、やってみたらどうだ。」


ついに18号の肩が壁に当たる。
もう後がない。

クリリンは18号の目の高さまで飛ぶと、両手を顔の脇に付いた。

「どうした。ひっぱたくんじゃなかったのか。」

「…ッ!」

普段からじゃ有り得ない、クリリンの高圧的な態度に言葉を失う。

顔を赤らめ、目線をそらす18号。
体の力を抜いた。


「…いい子だ。」

クリリンは18号の耳元で囁き、顎を掴んでキスをする。
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