ささげもの

□だって、好きなんだもん
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「ギッルバートくーん
何作ってるんデス?」
「見て分かるだろ
ケーキだ、ケーキ」
「誰にあげるんデスかー?」
淡い期待。
「あーオズだ、オズ。
なんか甘いものがほしいとか
いってたからな」
「そう、デスかー・・・」
帰ろう。こんなところ、いたく、ない。
「ブレイク、おい━」
「おいしいケーキができるといいデスネ」
淡々と言って、捨てる。
なけなしの笑顔も彼になら通じるだろう。
自分のベットはいつもより冷たかった。
「ギルバート君のバーカ・・・」
あそこにはケーキを求めにいったんじゃ
ないけれど。
ただ、逢いたかっただけ。
なのに。
『甘いものがほしいとか言ってたからな』
笑顔が胸に刺さった。
痛くて痛くて、苦しくて悔しくて━
大好き、なのに。
逢いたくないなんて。
「初めて・・・」
辛い、苦しい、好きすぎて。


その夜聞こえたノックは
痛む胸にもっと響いて━
ベットの染みは増えるばかりだった━
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