Title 幼
□紙で出来たハート達
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−ドタドタ……
−……ドタドタ
此処は泣く子も黙るチンピラ警察の屯所
その屯所に先程から
不似合いな子供の足音が響く。
−ドタドタ………
−……ドタドタ、、バフッッ!!
「うぉっ!!」
「おぉ、大丈夫か総悟??」
「いってぇな!何しやがんでィ!!」
「俺は何もしてねぇよ…」
「死ねよ土方コノヤロー!!!」
−ドタドタドタドタ……
自分から追突した相手に悪態を付き走り去った少年
先程からの足音の主は
先日真選組に引き取られて来た沖田総悟だった。
そして
ぶつかって来た少年を心配したら
悪態を付かれ揚句に死ねと言われた男は
総悟の保護者となっている土方十四郎。
「何に使うんだあんなもん…?」
土方は総悟が走り去るときに抱えていたものに
疑問を抱きながらも自室に向かった。
−−−−−
−−−
−
先程の足音も止み
総悟は一人広間の机に向かい
馴れない作業に苦戦していた。
「あ、破れた…いいや。」
そんな総悟の居る広間を通り掛かった隊士が一人。
「あれ?こんなところで何してるんですか??」
「ザキ!ちょっと手伝ってくだせェ。」
監察の仕事を任されている山崎退である。
「旦那が教えてくれたんでさァ!!」
総悟は山崎に向かって自慢げに微笑む
「へぇ…旦那が!」
「ザキも作るの手伝ってくだせェ
土方さんには内緒ですぜィ??」
「いいですよ。内緒ですね、分かりました!!」
山崎は笑顔で答え総悟を手伝い始めた。
「これは副長にですか?本当に大好きですね…」
「す、好きじゃねェ!!/////」
−−−−−
−−−
−
土方の自室に忍び寄る二つの影、
「ザキ、開けてくだせェ」
こそこそと喋る総悟の声で室内の土方は
今度はなんの悪戯かと身構えた。
そろそろと近づいて来る小さい影に
気づかぬ振りをしながら書類を片付ける土方。
「土方さん!!!プレゼントでさァ!!!」
振り返った瞬間に目の前がカラフルになる。
びっくりして目を見開いた土方に
得意げに笑った総悟が抱き着く。
「なんだお前。あの折り紙こんなもん作ったのか…」
紙で出来たハート達
目の前に広がるのは色とりどりのハート
おわり。