Title 幼

□イタズラはまかせとけ!
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「行きやしょうか…」

「おー!」


春がそろそろ顔を出し始めた時期、
暦上は春でも今朝は霜が降りるほど冷え込んだ。

まだ朝早い屯所の廊下。
そこに水鉄砲を構えた悪戯な笑顔が二人
意気揚々と、しかし静かにある部屋に乗り込む。


−スススー…パタン。


「へ、呑気に寝てやがらァ。」

「やがらー!」


忍び込んだは土方の部屋。
二人は眠る土方を覗き込み顔を見合わせる。


「いいですかィ?…行きやすぜ?」

「おー!」

「喰らえ土方コノヤロー!!!!!」

「ころやろー!!!」


−ビシャー!!ベチベチ、



二人は気持ちよさそうに眠る土方に
水鉄砲を発射した。

水鉄砲と言っても
ピュッピュッと飛ぶような可愛いものでなく
ガシャガシャ空気を入れるような大きな水鉄砲である。



「…ぶわァ!!!冷てェ!!!!おい!ふざけんなテメェ等!!!」


当然土方も飛び起きるわけで、
しかし、毎度のこと故犯人は判りきっている。


「あ、おはようごぜェやす、土方さんお目覚めは如何で?」

「ギャハハ!!いかかれー?ヒヒヒ!!!」


実行犯沖田は何食わぬ顔で水鉄砲を担ぎ
実行犯銀時は腹を抱え転げ回っている。



−−−



「う…ごめんなしゃ、うぐっ…」

暫く経てば
先程までの威勢は跡形も無く消え
土方の部屋で正座をさせられ
えぐえぐ泣きながら謝る銀時の姿。


「泣くならはなからすんじゃねぇよ…
総悟のヤツは逃げやがるし…」



毎度のことに飽きれ気味の土方は
銀時の頭を撫でた。

「銀時、本当に反省したか?」

「ん…」

「なら許してやる。おら!!飯行くぞ!」


土方はこくんと頷いた銀時の頭を小突き食堂へ向かった。


「ん!!」

部屋を出て行った土方を走って追い掛け
後ろから腰に抱き着く銀時。


「どうした?」

「トシだいすき!!」


銀時は振り返った土方を
赤くなった目で下から見上げ笑顔で言った。



「それはよかった。」

土方は銀時を抱き上げ食堂へ向かって行った。




次の日も次の日も銀時は必ず
何かしらいたずらを仕掛けてくる

それは土方も知っている。

ただ銀時に弱い土方は
どんないたずらでも可愛く思えてしまうのである



イタズラはまかせとけ!



(あの水鉄砲ねこんどーさんがくれたんだよ
そーごと頼みに行ったら買ってくれた)
(………はぁ。)
 

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