† NOVEL †

□闇夜の哀歌
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「あんたか。
ベルモンド家の生き残りっていうのは?」

 狩人は話しかけてきた男を一瞥し、またすぐに興味を失った。

こんな風に話かけられるのは珍しいことではなかった。

「ちょっと待てよ」

 足早に立ち去ろうとする狩人の腕を掴んで、青年は狩人を街灯の灯る明るい場所へと引っ張って行こうとした。

 狩人は青年の腕を引きはがし、冷たい目で睨みつけた。

 青年は一瞬怯んだようだったが、諦めた気配はなかった。

「お前が探しているっていう吸血鬼、知ってるぜ。
俺の仲間が何人か戦ったことがあるんだ。
ほら、ハンターの間じゃ有名な吸血鬼だからさ」

 狩人は青年の話を半分も聞いていなかった。

 しかし、最後の情報を提供してもいい、という言葉だけは何とか聞き取って、シリルは初めてその青年と目を合わせた。

「確かか?」

「ああ。
それも、最新のは二、三日前のことなんだ」

「聞かせてもらおう。
報酬ならいくらでも払う」

「ばか、そんなものいらねえよ。
俺は情報屋じゃないんだし……それに、ハンターっていうのは皆同志だからな」

 青年が人懐っこい笑みを見せたので、狩人は肩を震わせた。

この七年間、最も避けていたのが人との関わりだった。

 狩人は少しの間ためらった。

この青年は間違いなく、狩人を再び明るい場所へと引き込んでしまう可能性があった。

 しかし、情報には変えられない。

「ここじゃなんだし、何か食いながら話そうぜ」

 青年の提案に、狩人は渋々従った。








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