† NOVEL †

□闇夜の哀歌
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 疑わしい名前には、丁寧に調べた文献の題名まで書かれていた。

 まるで、自分がその使命を全うできなかった時、誰かが自分の足跡を追えるようにしてあるかのようだった。

 ロワイエの思慮深い横顔が、シリルの頭に過った。

 シリルはそのページにしおりを挟み、さらに読み進めていった。

 エヴァルト・ソルヴェーグの名前からどうにか目を背けようとしたが、それも次第に難しくなっていった。

 彼と同じ名前は、ページを増すごとにあらゆる場所に登場した。

そしてついに、最も疑わしい魔物としてその名が挙げられたのだ。

 ロワイエはこの頃既に――ちょうど、シリルが初めて狩りに出た頃だ――襲撃者の正体を確信していたようだ。

 シリルは真っ青だった。

小説に登場する最も頻繁に使われる安直な表現、とシリルが思っていたその描写は、まさに今の状態を的確に表していた。

 死人のような顔。

シリルは鏡に映る自分の顔を、じっと見つめた。

途方に暮れたような、みじめな顔がシリルを見つめ返した。

 心臓の音がうるさくて、考えに集中できなかった。

 誰が正しいのか、もうわからない。

左の薬指にはめられた指輪が、鎖のように見えた。

 シリルの指は機械的に動き続けたが、ある日付を見た時、声をあげて泣き出しそうになった。

 十月十五日。

ロワイエの最後の記録だ。

 それはあまりにも生々しく、残酷な手記だった。

 ロワイエはこの最後の日記を、死の間際に書いたのだ。

 筆跡は乱れ、所々に血の跡があった。

日記は、シリルに向けて書かれたものだった。

 そして、エヴァルト・ソルヴェーグの名前。

 シリルは全てを知ってしまった。









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