銀魂妄想庫

□苦しい恋を、報われない想いをT
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日誌を半分ほど書いたところで、

神楽が小説のページをさっきから全然めくってないのに気づき、チラリと伺うと

神楽は窓から外を眺めていた。



さほど真剣には見ていないが何か一点だけを真っ直ぐ、ボンヤリと静かに見つめていた。



気になって外に視線をやると、野球部に話しかけている、騒がしい1人の男が目に入った。



3階のこの教室からでもよく目立つ銀髪、理科教師でもないのに白い白衣を着て、

タバコの煙をグラウンドで堂々と吐いているこのクラス、

3年Z組の担任。

銀八先生だった。



野球とは関係ないことをベラベラと話していてその声はグラウンド中に響いていた。野球部員のやつらかわいそうだな…と同情しながらも客観的に見た後、教室内に視線を戻すと

神楽も銀八を見ていることに気がついた。



決して、騒がしいから見てたわけではなく、最初から銀八を見ていた。











あぁ、やっぱり。前から薄々とは感じていたため、あまり動揺せず平静を装って日誌に視線を落とした。


それでも、顔を、あげることはできなかった。顔をあげた時、まだ銀八を見ている神楽を見て、さすがに平静を保てるとは思えないから。

さっさと書き終えて、
何も見ないで帰りたかった。
正直、泣きたかった。   その時





  「お前、指長いな。」






透き通る声が教室と、俺の頭に響いた。












「……は?」突然の出来事に顔を上げると俺の手を見ていたらしい視線が俺と視線を合わせた。

外、見てなかったんだ…。




ほっと安堵の色を見せた俺を見て、神楽は頭にクエスチョンマークを一つ浮かべ首を傾げた後、もう一番俺に言った。


「そういえば手もでかいアルねぇ。」



そうか?自分は全然思ってもいなかったことを指摘され、動揺する。





「お前が小さいだけなんじゃねェんですかィ?」




いつも通りケンカったらしく言い返して視線を俺から離して欲しかった。今は、ちゃんと真っ直ぐ顔を見れる自信がないから。だからと言って、外を見られるのはそれはそれで大ダメージ。
なんなんでしょうねェ、俺ァ。



「何をッ!?なら比べてみるアル!!」





煽られたらしい神楽は持っていた小説を読んでいたところで開いたまま反対にして机に置き、ズイッと手を出したまま乗り出してきた。

机1個を挟んで、向かい合って座っていただけで十分近くてやばかったのに。

なんで乗り出してくんだよ…







顔も手もめっちゃ近いところにあった。








「ほらっ、早く手出すネ!!負けるのが怖いアルか?(にたり」



馬鹿にしたような笑顔も可愛くて。
そんなんじゃねぇやい。とか言いながら、震えるのをなんとか抑えて手を重ねた。

ヒンヤリとしていた。



















初めて触れた神楽の手は、
自分と比べてとても小さかった。

















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