銀魂妄想庫
□僕の魔法が解ける前に
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暗い暗い部屋
まるでもう二度と光が当たらないかのように錯覚してしまう。
それはきっと、今俺の心も暗くなっているからだろう。
だるい体や歪む視界。
鈍い頭痛や口内に広がる鉄の味…
それらを孤独な状態で耐えるのは
いつしか当たり前と思うようになった
なぜなら俺は
病原体だから。
―僕の魔法がとける前に―
俺の体は、
3日ほどいうことが聞かず
その後1日だけ少し楽になる…
というのを繰り返している。
そして
俺に限られた1日は貴重で
3日も床に伏せていた退屈をはらすため毎回外を歩くのが基本となっている。
今日は楽な日だ。重たい体をなんとか起こし屯所を後にした。
「咲いてらぁ……」
4日前まではまだ蕾だった桜が咲いていた。桜並木の続く坂道をゆっくり下り、時々止まっては桜を眺めていた。
今日は調子がいいので久しぶりに甘味屋にでも行ってみるか。
そう思って、川沿いの近くにあるあの甘味屋ならきっと桜が綺麗だと思いつき、向かった。
「何をお持ちいたしましょう?」
「あ、お茶でいいです。」
かしこまりましたという店主の声を背中で聞いて、
団子は無理だよな…と考えた。
きっと体が拒絶してしまう。
俺が食べれるのは少ない。
だから、どんどん痩せていき気持ち悪い。
今じゃ腰にぶらさがってる刀を振り回すことさえうまくできないので、ただの飾りに成り下がっている。
「…せっかく綺麗なんだから桜みたら?」
足元を見ながらずっと考えてたせいか、近くに誰か来たことに気づかなかった。
勢いよく顔を上げると、そこには腰に手をあて桜を見ている旦那がいた。
「今年も…綺麗に咲いたね」
「…そう…ですねぃ」
チラチラと舞う花びらに目を細めながら言った。
よいしょっと隣に座った旦那は店主に団子を何本か頼んだ。
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