銀魂妄想庫
□苦しい恋を、報われない想いをU
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自分の気持ちには気づいていたけど、怖くて、
認めたくなくていつも通りの態度でいた。
━━夕焼け空が教室を包んだ放課後、クラスメイトであり、ケンカ相手の沖田総悟と手比べをした。
それは、私の気持ちの整理のつもりが、
新しい気持ちに気づくキッカケと銀チャンへのけじめとなった。
外を見るとこのクラスの担任、銀ちゃんこと銀八先生が、グラウンドでもくもくとタバコをふかしていた。
大きな声で野球部に何かを教えているようだった。
……銀ちゃんと私は恋人という関係にある。
1年前、銀ちゃんからお前は生徒だけど、そんなのは好きだから関係ない、という大告白をされた。
私も好きだったので銀ちゃんの言葉に、優しさに感動し、もちろんOkをした。
新しく始まった銀ちゃんとの恋人生活は新鮮で、
ワクワクして、楽しくて、幸せだった。
…でも、最近なぜか銀チャンと一緒にいても楽しくなく、銀チャンもあまり笑わなくなり、私の前でも平気でタバコを吸うようになった。
前は、私の体に悪いとか影響してタバコ吸われたら困るとかで絶対私の前で吸わなかったのに…
楽しくない…というのは私の我が儘だと、はぐらかしていた。
手比べは、本当に何の考えも意識もなく、ただ比べたいという純粋な気持ちだった。
総悟の手が微かに震えているのを視界のすみで見るまでは…そう思っていた。
手を合わせた瞬間、しまったと思った。
総悟の手に触れることによって、手のひらを通して、総悟の気持ちが素直に伝わってきたから。
しかも、黙って何か考えたまま、ずっとこっちを見つめている。
私を映すその瞳を見ると、懐かしい匂いを感じさせる、セミの声が聞こえた気がした。
――2年前の夏、私は総悟に好きだと言われた。
私にとって総悟はケンカ相手で、とても恋愛対象に見ていなかったので断った。
その後少しお互いの間に気まずさはあったけど、高2になりまた、今までの関係になった。
でも、総悟は時々
「俺まだお前のこと好きなんでさァ。」
と言う。
そして私が困った顔をすると直ぐに
「…冗談に決まってるだろィ。」
と悲しい笑顔で誤魔化すのだった。
総悟がまだ自分のことを好きだとわかってても、気づかないフリしていた。
まだ銀チャンに会う前の、夏のことだった━━
見つめられ
なんだか恥ずかしくて、
「ま、あと5年もしたらお前の手はしぼんで無くなってるだろうがな!」
といつもの憎まれ口をきいた。
そうすれとまたいつもの口論が始まって さっきみたいないつもの総悟とは違う、真剣な眼差しは消えて…少し、安心した。
でも、なんでこんなにドキドキするの?
私は、自分の気持ちがわからなくなっていた。
知りたいというわけじゃなく、知りたくない、気づきたくなかったのが本音。
気づいたらいけない気がして。
それでも、確かに私の隠していた気持ちはトクントクンと動いていた。
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