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□7.日影
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7. 日陰



光と影は、表裏一体。
どちらか片方でも、欠けてはだめなのです。




「ノリト!」
「うん。結界っと。」

夜の闇の中、まだ幼さを残した少年の声が響く。

その闇の中で、突如浮かぶ淡い光。

結界が張られたのだ。
幼い声の主。それは小さな退治屋であった。

「行くぜ!」

剣を片手に、目の前の敵へ駆けるのは、アキラ。

「封縛布」

短く呟いて敵を束縛するのは、ノリト。

この二人は妖の退治屋。
まだ双方共に10歳と言う幼さではあるが、腕はそれなりに良い方だ。

ちなみに二人は双子で、攻撃担当のアキラは兄、防御・補助担当のノリトは弟である。

今回の妖は『影喰い』
人の影を喰らい、影を喰らった人間の魂をも削る妖である。

『ぐあぁぁぁぁあ!!!』

そんな説明をしているうちに妖は退治されたらしい。
なんとも仕事の速い事で。(え?説明が長い?またまた、ご冗談を)

「っし!任務完了!」
「お疲れ!」

二人は小さくガッツポーズをとると、そういって家へ帰って行った。

さて、普段は仲の良いこの二人だが、ケンカをするとどうなるか。


「もうアキラなんて。」
「ノリトなんて。」
「「だいっ嫌いだ!!」」

ツーンとそっぽを向いて、一言も口を利かない。
朝起きても、学校へ行っても、夕飯を食べるときも勉強する時も。

まるでお互いなんて居ないと言うように、一言も口を利かない、目も合わさない。

そんな二人を、両親は困ったように見ている。
実は、今夜も任務が入っているのだ。

おずおずと、母親がそれを告げる。

「じゃぁ俺が行く!ノリトは防御担当だから役に立たないだろうしな!」
「あぁそうですか!じゃぁ全部アキラに任せるよ、一人で平気だろうからね!」

やっとお互いを見たと思えば、そんな言葉。

アキラは剣を手に、任務場所まで一人で行ってしまう。
ノリトはそんなアキラを一瞬、心配そうに見やったが、すぐにフンッとそっぽを向いて部屋に戻っていった。




「くそっ!チョコマカ動くなって!」

一方、アキラは苦戦していた。
いつも相手が動かないように縛してくれるノリトがいないのでは、それは当然といえるが。
相手は『氷柱女』
アキラに向かい、幾つもの氷柱を落としてくる。
それをアキラは避け続けるが、小石に躓いて転んでしまう。
向かい来る氷柱。
もうダメだ、とアキラは強く目を瞑った。

「結界!」

ピィン・・・と、高い音がして、アキラの体が防壁に包まれる。と、同時に周囲一体が結界に囲まれた。

「アキラ!早くやっつけろ!」
「ノリト?!・・・おう!」

アキラは立ち上がり、反撃を開始した。

防御と攻撃は両方揃ってこそ。
どちらか片方だけではダメ。

だから、二人はいつでも一緒でなきゃ・・・ね?

End.


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