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□死神の国
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さぁ、目を瞑って。
想像力をフル活用。
準備は良いかい?
では尋ねよう。
『死神の』国。といわれたら、キミは、
どんな世界を想像する?
死神=黒ととらえ、モノクロの世界を想像するかい?
それとも、地獄のような灼熱の世界?
はたまた、死神を神の遣いと見、野花咲き乱れる美しい世界を想像したかい?
残念だったね。
死神の世界は、そんな幻想世界に出てくるような国じゃない。
君達と、同じ。
道路が開かれ、コンクリートビルが建ち並び、車が走る。
公園があり、噴水があり、森があって海や川がある。
ただ、食事を必要としない彼等だから、飲食店は勿論、自動販売機すらないけれど。
あぁそうだ。
最も君達と違う点。
それは・・・
ピンポンパンポン♪
木琴を叩いたような放送開始の合図、そしてその後に一瞬だけ入った雑音(ノイズ)。
『ρ2859・ρ1920。α-0001がお呼びです。すぐに受付まで来なさい』
その後に呼ばれる、事務的な名前。
この国のいたるところにこのスピーカーはあり、呼び出しが掛かればすぐに『受付』と呼ばれる場所に出向く。
この国そのものが大きな会社のような仕組みになっているのが、最大の違いだ。
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