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□水晶に映りし見知らぬ君
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あのこはだぁれ?
ねぇ、知ってる?
最近、よく見かける男の子。
種族はどうやら化け猫・・・らしい。
耳があるし、尻尾もついてるし。
初め、カルンの人型かとも思ったけど、違うみたい。
カルンは女の子だものね。
「おっ!また来たな、ロン、あそぼーぜ!」
「オレも混ぜてくれよジャック」
ファームとジャックが男の子―ロンと言うらしい―のもとへ走ってゆく。
男の子は嬉しそうに笑って、頷いた。
「あんな子・・・この辺りじゃ見かけないだわさ」
ふむ。と呟いて、そう零したラミル。
でも、首をかしげたのはその子供を知らないからじゃない。
「でも、気配は知ってるだわさ・・・?」
男の子のまとう気配が、どこかで感じた覚えがあるものだったから。
「誰の気配かわかるだわさ?ディアン」
『クュー…』
ディアンと呼ばれたラミルの使い魔は、分からないというように首をかしげた。
「そっか・・・まぁ、害を与えるでも無いし・・・大丈夫だわさね」
なぜかラミルには確信があった。
この少年は、絶対に住民に危害を加えないと。
「ラミル、夕飯の支度が出来ましたよ」
「あ、今行くわさ!」
ラークの呼び声にラミルは街の様子を見ていた水晶から目を逸らすと、立ち上がり、食事を取るためにラークのもとへと向かった。
だから、ラミルは知らない。
少年がホッと息を吐いたことを。
『バレルかと思ったわい・・・ま、わしもそこまで甘くは無いがのぉ』
そう小さくつぶやいて、ニッと笑ったことを。
ねぇ、あのコはだあれ?
誰にもナイショ。
ナイショだよ?
あのコはね――
End.
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